9ー2
数日の自宅待機。
それは、さくらだけでなく、ひまわりや、他のクラスメイト達も同様であった。
「はぁ……ひのっち……どうしてるんだろ?」
ぽつり。
自室のベッドに寝転んでいるひまわりが呟いた。
そんな彼女の髪はボサボサであった。
そして、目の下にはくっきりと隈が浮かんでいる。
全く動いていないのに、疲労感で身体中が泥のようにベッドに張り付いている。
身体が動きそうにない。
そもそも、彼女自身、動かそうとも思っていなかった。
彼女自身、この数日間まともに食べていないし、寝れてもいない。
頭痛と微かな腹痛。
目を開けると、目に映る天井が、ぐるぐると回っていた。
どう見ても体調不良だ。
「喉渇いた……。」
ぽつり。
再びの独り言。
ひまわりは、本人が気がつかない内に、独り言を何度も言っていた。
それは、今始まったことではなく、自宅待機が決まってからの癖であった。
喉の渇きから出た独り言であった。
しかし、今は、全く動きたくない。
「ひまわり、入るわよ。」
部屋へ、彼女の母が入ってきた。
それに気がついたひまわり。
首だけ動かし、見る。
良いタイミングであった。
「あー……お母さん……。飲み物ちょうだい?」
「え?」
「だから飲み物ちょうだい?」
「どうしたの!?ひまわり!しっかりして!」
母の慌てた声。
おかしい。
脳内に響く母の声の聞こえ方が違う。
不明瞭で、不鮮明。
次第に視界も暗くなっていく。
夜でもないのにおかしいと思っていた。
ひまわりが、次に目を覚ますと、リビングのソファーに寝かされていた。
「あれ……?」
起き上がるひまわり。
その際に、額に冷たい感覚があるのに気がついた。
冷却ジェルシートが彼女の額に貼られた。
「ひまわり!?大丈夫!?取り合えず飲みなさい。」
ひまわりが起きたことに気がついた母。
慌てて駆け寄り、ひまわりに飲み物を飲ませようとする。
問答無用に飲まされるひまわり。
ひまわりの口の中に広がる冷たい清涼飲料水の味。
ひまわりは、食事もろくに摂らず、水分も同様であった。
熱中症であった。
その後、エアコンの効いた涼しい部屋で水分をこまめに摂っていた。
すると、次第に彼女の体調も良くなっていった。




