6ー2
少しの休憩の後のこと。
さくらはひまわり達の元へと駆け出して行った。
「おっ!ひのっちもう大丈夫なの?」
「うん!大丈夫だよ!」
さくらは、ひまわりの問いに、嘘をついてしまった。
少しでも彼女と一緒にいたかったのだ。
そして、もう一つの理由があった。
むしろ、それが最大の理由だろう。
ひまわりを彼らに盗られると思っていたのだ。
キャッチボールをし始めた。
ひまわり達も、男子に混ざっていた。
「日乃山ー行くぞー。ちゃんと捕れよー。」
「うん。」
男子の一人とペアになったさくら。
少し緊張しながら返答する。
ブカブカなグローブを着けた左手をブンブンと頭上で振る。
隣では、すでにキャッチボールを始めているひまわりとクラスメイトの男子がいた。
何回かのパスをしていた。
それは、その時に起きた。
さくらが投げたボールが、すっぽ抜けてしまったのだ。
公園から勢い良く飛び出ていくボール。
それは、ある場所で止まった。
「げっ!?何やってんだよ日乃山っ!」
慌てるクラスメイトの男子生徒。
その視線の先には、とある民家。
そこは、彼らが皆怯えている場所であった。
彼らの通う小学校で、そんな不気味な噂が流行り、拡散されていた。
もちろん、ひまわり達も、その話を聞いたことがある。
魔女の住む家。
そう呼ばれる場所がある。
そんな噂が流れていた。
そして、それこそ、さくらの投げたボールが転がっていってしまった場所でなのである。
園内に、フェンスがある。
その為、よほどのことがない限り、公園からボールが飛び出ていくことはないと思っていた。
「ど、どうすんだよ、日乃山!お前のせいだぞ!なんとかしろよ!」
焦りから、必要以上にさくらに当たる。
「え、そ、そんな……私……。」
「ちょっと待ってよ!ひのっちだって、わざとじゃないんだからそんなに責めないでよ!」
止めに入るひまわり。
「じゃあどうするんだよ!ボール取りに行ったら俺達皆、魔女に食べられるんだぞ!?」
雷のような金色の髪。
深い海の底を思わせる青い瞳。
人を探し出すことに特化していると言われている高い鼻。
彼女の家の敷地に悪戯半分で侵入した人間を、その骨ごと食べる。
そんな話も彼らの周りで広まっていたのだった。
「な、なら私お休みの日にボール買いに行くよ。だから許して……。」
涙目で、しゃっくりをしながらさくらが言う。
「そんな……駄目だよひのっち。」
「じゃあどうするんだよ!?」
「いいよ、はっち。止めてよ。」
「魔女なんて怖くないもん!私が取りに行くよ!それで良いでしょ!?」
なげやりに叫ぶひまわり。
その声は、発したひまわり自身も驚くほどの大きな声であった。
次章
6ー3
2018年11月24日
投稿予定。




