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甘いかおりの花蜜は苦い  作者: あさまる
13/61

5ー1

自室で最終確認をするさくら。

その額からは、大粒の汗が流れていた。


「……はっち専用アルバムよし。はっちの古着よし。はっちのお古の歯ブラシよし。……その他はっちグッズよし。全部隠した、大丈夫。万が一があっても大丈夫。」

指差し確認。


先ほどまでの彼女の部屋。

それは、とても人に見せれるような代物ではなかった。


ひまわりの昔使っていた物と、彼女の成長を記録した写真の束で溢れかえっていたのだ。

それらを全てクローゼットに、文字通りぎゅうぎゅう詰めにしたのだった。



「さて、飲み物持って行くか……。」


ガチャリ。

部屋の扉を開ける。

すると、そこには本来ならいないはずの、正確には、リビングで待っているはずの人間が立っていた。


「あっ……。」

二人の声が重なる。



見つめあう二人。

静寂。



「……えへへ。」

最初にこの沈黙を破ったのは、ひまわりの誤魔化すような照れ笑いだった。


「ふへへ、可愛いぃ……じゃないっ!なんでいるの!?」

理性と欲望に揺れながらさくらが言う。


そうだ。

なぜひまわりがここにいるのだ。

待っているように言っておいたはずだ。


「ひのっちいなくて寂しくなっちゃって……。」

ひまわりが、えへへと恥ずかしそうに言う。


そんなことを言われてしまっては許さざるを得ない。

「しょうがないなぁ……。ジュース持ってくね。……一緒に来る?」


「うんっ!」

満面の笑み。


さくらにだけ見せる本当の笑み。

上辺だけのものではない、真実の顔。



台所へ行き、冷蔵庫を開ける。

慣れた手つきで中からジュースを取り出すさくら。


「はっちはオレンジジュースだよね?」


「うん、ありがとう。」


本当に、慣れたものだ。



そのから、二人はリビングで過ごした。

他愛ない談笑や、テレビゲームなどをしているうちに、夕方になった。


ガチャリ。

リビングの扉が開く。

そこには、さくらとひまわりがよく知る人物が立っていた。


「おー、おかえり。はっち来てるよ。」


「……あ!ひのっちママお邪魔してます。」


「ただいま。あら、ひまわりちゃんいらっしゃい。」

にこっと笑う。

さくらの母だ。


手にはビール袋を下げている。

買い物帰りなのだろう。



「私そろそろ帰ろっかな。」


「……え、もう帰るの?」

ひまわりの声に、しょんぼりするさくら。


「え?ひまわりちゃんもう帰るの?良かったら晩御飯食べて行きな?」

さくらの母の提案。


「そんな、悪いですよ。」


「良いから、良いからっ!ほら、ひまわりちゃんもお母さんに連絡して。」


「は、はい。」

勢いに負けたひまわり。

携帯電話を取り出す。


廊下に出て、自宅に電話をかける。

何度かの呼び出し音の後、彼女の母の声。



「あ、お母さん?今日ひのっちの家でご飯食べてって良いって言われたんだけど良いかな?」


「え?もっと早く言いなさいよー。まぁ、良いけど……。」

後半を言い渋る。


「お母さん?どうしたの?」


「いや、あんたのクラスメイトの子が来てるのよ。」


クラスメイト?

だれだろうか。

「え?クラスメイト?」


「ほら、この前家に挨拶しに来てくれた子よ。」


「あー……。何でだろ。」

あの転校生の子か。


何の用だろう。

少し疑問があったが、本来の目的を達成した為、さくら達の待つリビングへ戻った。

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