4ー4
こうなったら腹を括るしかない。
それしかないのだが、何かないだろうか。
通学路を通り、帰宅するさくら。
その隣にいるひまわりとは対照的な心情。
さくらの心中は荒れに荒れていた。
まずい。
来てしまうのはもう阻止出来ない。
それならば、あれだけは隠さなければならない。
背中に流れる汗が、さくらの切迫感を増幅させる。
着いてしまった。
目の前には、さくらの見慣れた建物もとい、彼女の自宅。
「ちょっ、ちょっと待って、本当にお願いっ!ちょっとだけ、三分……いや、五分待ってて!お願い!」
声が上擦るさくら。
玄関を開け、急いで締める。
外で待たされるひまわり。
どたばた。
騒がしい音が扉越しにでもひまわりの耳に届く。
数分後。
ガチャリと玄関が開く。
そこには、汗だくで息も絶え絶えのさくら。
汗で引っ付いた制服が透け、所々肌が見えている。
しかし、さくらには、そんなことを気にしている余裕はなかった。
「おま、お待たせ……しました……。どうぞ。」
「う、うん……。お邪魔します。」
若干の罪悪感。
玄関を通り、さくらの家に入る。
途端に濃くなるさくらの香り。
彼女がここに住んでいる。
当たり前のことではあるが、そんなことを再認識出来る。
久しぶりに入ったさくらの家。
それにも関わらず、ひまわりは安心することが出来た。
「この匂い好きだな。」
「え?なに?」
思わず出たひまわりの声に反応する。
幸か不幸か、彼女の声はさくらには不明瞭に聞こえていた。
「い、いや、なんでもないよ。」
ドキッとする。
匂いを嗅いで良い匂いで安心した。
こんなことを聞かれてしまえば、変態だと思われる。
慌てるひまわり。
「じゃ、じゃあリビングで待っててね。ジュース持ってくるね。」
「え?ひのっちの部屋じゃないの?」
「う、うん!とにかくっ!リビングにいてね!絶対にだよっ!?分かった!?」
「は、はい。」
勢いに押されたひまわり。
ひまわりが、ちょこんと椅子に座る。
カチコチカチコチ……。
室内には、時計の秒針の音のみ。
「……。」
一人友達の家。
静かなリビング。
本来なら、気まずさから居心地の悪いものだ。
しかし、この静寂がどこか居心地の良いひまわりであった。
それでもひまわりは、一人は寂しかった。
「……ひのっち遅いな。」
立ち上がる。
ひまわりは、ゆっくりと歩き出した。
次章
5ー1
2018年10月20日
投稿予定。




