※この作品は、フィクションであり、記載されている物は実在する団体や個人等とは、一切関係ありません。
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2018年8月4日
あさまる
「なぁ、俺達付き合ってもう一ヶ月だろ?」
「え?……まぁ、そうだね。」
夕日に照らされた校舎。
その中の教室。
緊張気味の為、声が上擦る男子。
金色の髪を靡かせ、窓の外を見る女子。
両者の様子は正反対であった。
少女の目線の先には、部活動に勤しむ生徒達。
彼らを見る少女の目は、悲しげなものだった。
「おい、ちゃんと聞いてるのか!?」
教室内に響く声。
先ほどまで緊張していた男子。
彼の声だ。
少女は驚き、一瞬身体を震わせる。
そして、彼を一度見た後、すぐに窓の外へ目が行く。
またこうなるのか。
呆れる少女。
溜め息が漏れそうになる。
しかし、これ以上彼を怒らせるのも面倒だと思い、なんとか堪えた。
「おい!」
腕を掴まれる。
このままではまずい。
そう思い、少女は思いきり少年の顔面を殴った。
彼女の非力なパンチでも、少年にはショックが大きかった。
彼は、少女の腕を離した。
そして、そのまま後ろによろめく。
「ごめんなさい、やっぱり貴方とはもう付き合えない。」
「は、はぁ?ちょっと待てよ!」
震える身体。
振り絞る声。
「本当にごめんなさいね。じゃあ、また明日。」
少女はそのまま教室を後にした。
「恐かった……。」
女子トイレに彼女はいた。
震える右手を、左手で押さえる。
初めてあそこまで豹変する人を見た。
初めて腕を掴まれ、何をされるのか分からない恐怖を味わった。
初めて人を殴った。
少女の独り言は不自然に震え、視界は歪んでいる。
「……また、ひーちゃんに会いたいなぁ……。」
ひーちゃん。
その名を口にすると、不思議と少女の震えが止まった。
次章
1
2018年8月5日
投稿予定。