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黒と白

「お前さ、俺側につかない?」

 目の前には、一人の全身黒の男がいた。いや、肌は黒く無いけどさ。黒い部屋、色は逆だけどエリアのときに似ている。

「誰?」

「俺は転生神ケテル。お前みたいな白じゃなくて黒な」

「白黒ってなんだ?」

「おい、お前名乗れよ」

 やべ、なんか苛立ってる。この神短気だな。

「古城 靈」

「最初からそうしろ。で、白と黒つーのは今戦争してる二つの勢力だ。この戦争の発端は、確か当時のツートップのケンカだったはず。そいつらが白の神、黒の神と呼ばれていたから、お互いの勢力がそう呼ばれてる」

「戦争……か。それで今どっちが優勢なんだ?」

「神だってのに、なんも知らねぇんだな……白が優勢だ。こないだの原点の戦闘でしてやられてな。えっと、原点ってのは唯一魔法とかのない世界な。その代わり、物理法則を利用した技術が発展してたんだよ。そして、そこの奴らはなにも持ってないから、スキルの適合率も高くて、重宝してた。だけどその魂は、白側にみんな持ってかれちまって」

 喋っていくにつれて、苛立ってきてるのが表情から分かる。そんなことより、原点のことについてだ。唯一魔法や異能力のない世界、それは地球だろう。でもそうだとしたら……

「その世界は、地球か?」

「ん、そうだが。お前、それは知ってるんだな」

 疑惑が確信に変わる。エリア、白の神々は、僕を殺しておきながら、何食わぬ顔で接してきたわけだ。

「実は、ケテルの言った戦闘に捲き込まれて死んだんだ」

「マジかよ。それなのに神としてやってんのか」

 あれ? この神、呼び捨てされても意外と何も言わないんだ。

「ああ、そうなんだ、なんにも説明されなかったんだ」

「そりゃ、酷いな」

「そうだろ。だからさ、黒側につくって話、乗るよ」

 こう答えるしかない。ここで断っていたら死んでいただろう、もう魂の中に入り込まれてるんだから。

「おお、そうか。じゃあスキルをやるよ」

「ちょっと待って、僕はスパイとして潜入してようと思うんだ。だからスキルを貰ったらばれるかもしれない」

 こう言っておけば、トキちゃんとも一緒にいれるな。

「それもそうだな、じゃあスパイ頼むぞ」


 そこで目が覚める。僕は、自室の布団で寝ていた。起き上がると、服もいつも通り三本線のジャージになっていた。

なんとか助かったな。体もきちんと動かせる。だけどさっきの会話で、ケテルの魂が浸透しているかもしれないな。頭の中に爆弾が入っているような状態だ。下手なことはできないか。

そんなことを考えながら、顔を洗う。あまり食欲は沸かなかったので、角砂糖を二つ口に放り込み、食事を済ませる。歯を磨いたあと、ローブに着替えようとクローゼットを開ける。ローブがない。

仕方ないのでそのまま部屋を出ようとしてドアノブに手をかけた。その時、凄まじい勢いでドアが開き、後ろに吹き飛ばされる。

「靈、目が覚めた……の……」

 入ってきた少女の顔が、気まずそうな顔になる。

「大丈夫だよ、トキちゃん。でもその姿……」

 目の前の少女、声はトキちゃんだが剣ではなく人だった頃の姿をしている。死んだときだから、一三歳のときの姿だ。

「これはね、人化って言うスキルだよ。ってそれより、三日も起きなかったから、みんなあんたのことを心配してたんだよ」

 あの少しの時間が、こっちでは三日だったのか。ていうか、なんでトキちゃんここにいるんだ?

「そうだったんだ、ごめん。で、なんでここにいるの?」

「エイジがエリア様と専属契約したから、剣としてここにいるだけ」

 エイジもいるのか。開けっ放しのドアから外に出る。後ろからトキちゃんもついてくる。

「靈様!」

「おはよう、エイジ」

「おはようじゃないですよ。自分の方が偉い何て言った後に三日も寝る何て、バカみたいだと思いませんか。今日は寝ていた分も合わせて四日分働いてもらいますよ」

 白い部屋には、エイジとエリアがいた。

「四日分はさすがに無理かな」

「じゃあ、何があったか話を聞きたいので、座ってください」

 床に座る。トキちゃんも隣に座る。そして、話を始める。

「まず、今回の原因は吸収した使徒の魂に邪神の魂のが少しだけ混ざっていたからだと思うんだ。それで、魂を奪い取られるのに抵抗している間眠っていた、みたいな感じ」

「はぁ、そういう事でしたか。使徒のスキルごと取り込んだんでしょうね。何かしらの異常はありますか?」

「ないよ」

「そうですか。今日の勤務はなしです。自由に過ごしてください」

 なんか結構優しいところあるじゃん。自由って言われたし、久しぶりにゲームするか。


 斯くして、僕の最初の仕事は終わった。

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