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僕だけの術

 砦内の様子は慌ただしい。皆防衛の準備をしているからだ。しかし、僕は今なにもしていない。休んでいてください、と勇者に言われたのだ。エリアさんは、自分だけが休んでいるわけにはいきません、と言って手伝いに行った。だけど、僕は、お言葉に甘えて休ませてもらうことにした。

 今回の作戦は、エリアさんが指揮をして、僕とエイジで使徒を抑えることになっている。使徒以外にも犬型の魔物もいるらしいが、そいつらは他の人たちがやってくれるらしい。つまり僕は、使徒と戦えばいいだけだ。しかも、喰ってし待てもいいらしい。ちなみにエイジは、エリアさんから何か新しい力をもらっていた。その力なら、二人で十分に対応できるらしい。

 自分の中で言われたことを確認して、寝ようとする。


 その瞬間、爆発音とともに、岩が崩れるような音が耳に響く。突然の轟音に驚き、心泊数が上がる。


 はい? 使徒さん、来るの早すぎないですか。そう思いつつ、ドアを開ける。

「靈様、いきますよ」

 そしてお前も来るの早すぎ。出待ちかよ。

「これを渡しておきます」

 爆発したところに向かいながら、エイジが剣を渡してくる。今気づいたけど、こいつ剣2本持ってるんだな。

「いや、要らない。そもそも、剣は使えないし、拳で戦うよ」

「見たところなにも持ってないようですし、これは魔法の媒体も兼ねてるんです。持っていて、損はないと思いますけど」

「いや、魔法も使えないから」

 エイジは、不思議そうな顔をしている。そうですよね、拳で、戦う神ってあんまいなそうだもんね。

 

 そう話しているうちに、崩れた壁のところについた 。敵は見えない。遠距離からの攻撃か?

「危ない!」

 エイジにローブのフードを引っ張られる。次の瞬間目の前を火の玉が通り過ぎ、後ろの方で爆発した。

 エイジが剣を抜き、なにもない空間を切る。なにもなかった場所から人が現れ、後ろに飛び退いた。そして、さらに三人の人物が現れる。四人中、二人は全身鎧を着ている。片方は青い鎧に大盾と剣、もう片方は赤い鎧に大剣を装備している。他二人は同じローブを着ている。だが、持っている魔道書と思われる本が違うな。片方は赤、片方は紫だ。きっと赤の方が火の玉のやつだろう。

「俺は、前衛二人を相手します。後衛二人をお願いします」

「分かったよ」

 エイジが突っ込んでいく。エイジの剣を青鎧は、大盾で弾く。それと同時に大剣の重い一撃が来る。エイジはそれを飛び退いて回避する。着地の隙狙い赤ローブが魔法を発動させようとしていた。

「させないよ」

 地面を思いきり蹴り接近、そのままの勢いで右ストレートを相手にくらわす。赤ローブは大きく後ろに吹き飛ぶ。

 こっちも火球が直撃したが、なんともないな。やっぱり強いはこれ。これというのは、僕が、自分で編み出した技術だ。

靈式魂格闘術とでも、言おうか。靈式魂格闘術は魂を高密度で全身に張り巡らせ、防御力を獲得する術だ。

 本来、魂は傷口からの流出を防ぐため、脳などの重要な場所に定着している。弱点は纏めておこうてことだね。だがそもそもその理屈なら、傷口を作らなければ良くねという発想から産まれのがこれだ。

 この術のメリットは、外見に変化がなく、今回のような不意打ちができる。今回はきっとローブ姿ということもあって、うまくはまったって感じだな。僕みたいのだけだが、攻撃に合わせて魂を浸食できるというメリットもある。そして、この術には凄まじいデメリットがある。それは、これのもとの発想を言い換えると、傷口が一つでもついたらやばくね、になるということだ。つまり、相手の攻撃力が勝ったとき、すべての攻撃が致命傷になるということである。まあこれの対策もあるけど。

 普通はこんなことはしないだろう。なぜなら、そもそも魂が小さくては、魂の密度が足りず、ただ弱点を攻撃してくださいと言っているようなものだ。逆であれば、使うことはできるだろうが、わざわざ、こんな危険な術は使わず、他の方法で防御力を高めるだろう。まさに、魔法も使えない僕のための僕しか使わない術だ。


 解説はこれくらいにして、

 捕喰の時間を始めようか。

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