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初めての仕事

 顔を洗う。冷凍庫から食パンを一枚取りだし、オーブントースターで焼く。焼けたパンに、溶かしたチョコレートとメープルシロップを混ぜたものを染み込ませる。ナイフとフォークで一口分に切り、口に入れる。何年も慣れ親しんだ甘さが口に広がる。朝食にはやっぱりこれが一番だとあらためて思う。食べ終わったら、歯を磨く。そして、今日から自分は働くのだ。外出のために、ダイバースーツ、酸素ボンベ、ライト、などに欠陥がないか、確認して装着する。海に出るのは何年ぶりだろうか。そんなことを考えながら、ドアを開ける。


「その服装はなんですか」

 エリアさんに言われ、気づく。ここ、もう海底都じゃないじゃん。これじゃただのバカだよ。

「着替えてきます」

「クローゼットに正装を入れておきました。それに着替えてください」

 正装があるのか。ジャージのほうが楽でいいんだけどね。

「わかりました」


 部屋に戻り、ダイバースーツを脱ぐ。そしてクローゼットを開ける。中には一枚のローブが入っていた。それは、僕が前世で住んでいた光の届かない海底を思い出すような、漆黒だった。少し懐かしい感じがして、落ち着く。結構わかってるじゃないですか。着てみると、肌触りはよく、以外と軽い、しかも動きやすい。サイズもちょうどいいな。


「着替えましたよ」

「サイズも大丈夫そうですね。着てみてどうですか?」

「完璧です」

「気に入ってもらって何よりです。それは夜の神衣と言います。魔法の補助効果はそこまでではないのですが、魂術、あなたの魂の捕食などに、大幅な効果があります。本来は魂術の扱いに慣れていない転生神のためのものですが、あなたにはこれ以上相性の良いものはないでしょう」

「エリアさんが着ているのにも効果はあるんですか?」

 エリアさんが着ているのは僕のとは、反対で、純白のローブだ。

「これは聖の神衣ですね。バランスがよく、半分ほどの神が着ています」

「神衣にも色々種類があるんですね」

「そうです。さて、仕事の内容を説明しましょう。まず、私たちの目的は邪神を倒し、世界に平穏を取り戻すことです。そのために、私達転生神は、主に世界間での魂の管理、スキルを与え、勇者として前線に転生させることが主な仕事です。あなたなら、コツさえわかればすぐにできるでしょう」

 邪神に、勇者に、スキルといよいよ異世界ものっぽくなってきたな。

「ですが、今回私とあなたがする仕事は、前線での指揮です。本来ならば、これは戦神がやるべきことなのですが、ある事情があってやることになりました」

 ある事情か。少し気になるな。

「世界の名前はイェンスイード、戦況はややこちらが押しているといったところです。現地ではエイジという勇者が中心となって戦っています。それで、早速転移しようと思います。その前にしたいことはありますか?」

「特にないです」

「では、いきますよ」

 僕たちの足元に魔法陣が浮かび上がる。前とは違って、今度は青色だ。一瞬意識が途切れる。


気がつくとそこは知らない部屋だった。そして目の前には重そうな鎧を纏った人物がいた。

「て、転生神様、自分は勇者のエイジと言います」

 兜を脱いで、エイジと名乗った人は黒髪であった。なんだ日本人か、しかも高校生っぽい、テンプレだな。

「はじめまして、勇者エイジ、転生神五四四位、エリアです」

 五四四位ってもしかしてかなり下じゃないか。

「古城 靈です。よろしく」

「もしかして、あなたも日本人の勇者ですか」

 僕が答えるまえに、エリアさんが答える

「彼は日本人ではありません。それと生まれたばかりなので序列には入っていませんが、一応転生神です」

「そうでしたか、失礼しました」

 エイジはそう言って頭を下げた。いかにも地上人だ、海底に住んでいるニート達とは大違いだ。

「挨拶はこれぐらいにして、本題に入りましょう。エイジ今の状況はどうですか?」

「昨日までは、こちらの優勢だったのですが、邪神の使徒が四人現れ、今はこちらの劣勢です」

 二人の表情が険しくなった。使徒というのは勇者のように力を与えられた者のことだろう。それ4人あいてに耐えていたことを考えると、エイジは結構すごいのではないか。

「四人ですか……それはさすがに援軍が必要ですね」

 

 部屋の扉が勢いよく開き、男が入ってきた。男は相当焦ってるように見える。


「どうしたんですか?」

「前線の騎士軍が全滅しました! そして使徒がこの砦に向かって来ています!」

 いきなり戦闘とかうそやろ……

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