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鎌を構える

 僕は森の中で、岩に腰を掛けていた。

「ねぇ、幽霊さんは何て呼ばれてるの?」

 手に持っている刀は僕に聞いてくる。この少女は唯一僕が話したことのある相手だ。僕が刀の姿にしてしまった、だから彼女を人に戻してやりたい。このままじゃ彼女は自由に過ごすことができない。それは存在しないのと同じだ。そして、僕は償おうとすることで存在できる。

「聞いてるー?」

「ああ、で何だっけ?」

「はぁ……何て呼ばれてるのって聞いたの」

 呼び方か……昔は病気だの呪いだの言われてたけど、人らしい名前は特に無いかな。くう……そう呼ばれたことがあるような無いような気もする。

「無いから自由に呼んでいいよ」

「じゃあ、靈って呼ぶね」


「夢を見たのか」

 僕がトキちゃんに名前を貰った時、僕が僕の存在を確立した時だ。何で今こんな夢を見たんだ。

 予定を確認する。何もない。せっかくだから、トキちゃんに会いに行くか。

 ケテルから借りた地図を開く。それには部屋ごとに名前が書かれている。

 一ページ、二ページとめくっていく。最後まで読んだが、トキちゃんの名前は見当たらない。

 無いとは思うけど武器庫にいるとか無いよね。行ってみるか。でも、武器庫は許可取った方がいいか。危険なものとかありそうだし。

 連絡用のアプリを開き、文を打っていく。


 いろんな武器を試したいんだけど、武器庫って入っていいの? 


 ケテルに送信する。そしてすぐに返信が来る。暇人かっての、仕事しろよ。


 自由だが、レベル2までな。それより上は入れない。あと、試すには武器庫のとなりの広い部屋を使え。


 レベルとは強さだろうか。いや、たぶん危険度とかだろうな。まあ、そんなことはともかく、行きますか。


 武器庫に着いた。扉の隣にはコンソールがあった。名前を入力するのか。え? パスワードって何だよ。分からないのでそのまま確定を押す。すると、利用規約が出てきたので、同意を押す。

 ドアが上に上がる。中には、大量の武器が一つ一つショーケースに入れられ、電子ロックがかかっている。

 それにしても、まるでSFだな。って違う違う、そんなことよりトキちゃんを探そう。


 三時間ほど経ってようやくレベル一を見終わった。どうやらここは出来がいいだけの武器が置いてあるようだった。

 エレベーターでレベル二に向かう。扉が開いた時、誰かが僕を見ている気がした。

 通路を走り、急いでトキちゃんを探す。角を曲がろうとしたその時、僕の目の前に機械化された大鎌が降り下ろされた。角待ちはやめて欲しいな。

 刃の先の半分がスライドして、もう半分の中に納まる。そして、折り畳まれる。

「君、危ないぞ」

 犯人は姿を現しそう言った。出てきた女は4肢にローブの上から鎖を巻いていた。危ないのはそっちだと思うんですが。

「僕、古城靈、お前誰?」

「ケテルの所のガキか。私は、武器の管理者だ。戦神と勘違いされるが転生神だ。名前は無い、皆好きに呼んでいる。君は、なにかを探しているようだが、言ってくれれば案内してやろう」

 なんだ、この武器庫の人か。これだけ広かったら居てもおかしくないな。

「時刻っていう魂剣を探してる」

「魂剣ならケテルが管理してる。君が会った時に聞いてみるといい」

 聞いたけど、場所教えてくれなかったんだよなぁ。何かしら隠したい事でもあるとか。トキちゃんが僕と会うのを拒否してるとかじゃ無いといいんだけど。

「そうなのか。じゃあ、帰るね」

 後ろに振り返って帰ろうとした時、大鎌の刃が僕の首に突きつけられ、動けなくなる。

「少し戦ってみないか?」

「分かりました」

 あの人おかしいよ、べつに鎌使わなくたっていいのにさ。

「武器は勝手に選んでくれ、隣の部屋で待ってる」

 んじゃ、選ぶか。


 部屋の中はやはりSFしていた。きっとここも武器庫と同じで彼女が管理しているのだろう。

「早かったな。ダガーに、槍一本か」

 彼女はさっきと変わらず、大鎌を装備している。

 僕の装備は普通の槍だ。それとダガーの方はケースに入っているのだが、投げたりすると勝手に戻っているという不思議装備だ。

「じゃあ、始めるぞ」

「はい」

 答えると同時に爆発を起こす。先手必勝だ。槍は投げ捨て、追加の攻撃を加える。イメージするのは、金属を溶かす巨大な炎だ。こんなふうに具体的にイメージするのが、重要とビウンが言っていた。

 大鎌……サイスでいっか。サイスがいる場所は炎上する。

「熱いな、だがそれだけだ」

 僕の攻撃は通じていないようだ。何でこんなにも戦神は堅いのだろうか。あれ? 転生神だっけ。

 サイスは一歩一歩近づいてくる。サイスを貫ける光の弾丸を連射する。

「集いし槍は私を守り、君を拘束する」

 一二本の槍が出現し、僕の弾幕を弾く。そして、こちらに飛んでくる。床に突き刺さった槍は僕の動きを封じる。

「私の勝ちだ。言わせてもらうが、その技術は君にはまだ早い。素直に他の方法でやれ」

 サイスがそう言うと、槍はどこかに消えていった。黒の神達は遊びがない。サイスはまだ攻撃させてくれたからいい方だ。ビウンなんか、一発で終わらすからね。

 魔法の方だけど上達するまでは、詠唱にするか。ちなみにだが僕は魔方陣より詠唱の方が得意だ、叫ぶだけでいいからね。

「僕はもう帰ります。ありがとうございました」

「明日も来い。私が戦い方を教えてやる」

「はい」

 ビウンとハッセンが帰ってくるまではサイスが先生か。まあ、僕も練習したかったしちょうどいいかな。

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