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黒として戦う

 授業という名の瞑想と稽古という名の暴力過の日々が始まってから一か月が経った。

 魔法の方は順調だ。無基点発動も小規模の魔法ならできるようになってきた。ビウンもこのまま行けばあと半年でケテルに頼まれたラインまで行けるそうだ。

 それに対して、剣の方はひどい有り様だ。変な癖があるらしく、上手く切れない。ハッセンには振りたいように振れという考え方があるらしく、特に直そうとはしてこない。何度も振ってればいい感じになると言っていた。


 起きたら、今日の予定を確認する。いつもどうりかと思ったけど、ケテルから起きたら来いと連絡されていた。僕は着替えて部屋を出ていく。


 この一か月で、この部屋からケテル、ビウン、ハッセンの部屋への道は覚えた。トキちゃんもどこかにいるらしいのだが、あれ以来会っていない。ケテルに聞いて会いに行ってみるか。


 ケテルの部屋のドアを開ける。そこにはケテルの他に、ハッセンとビウンがいた。

「みんな、おはよう」

「おはよう、少年」

「これで全員揃ったな。お前らを呼び出したのは靈を実戦に出そうと思ったからだ」

 ビウンの表情その言葉を聞いて、難色を示す。

「少年には早いと思うのだが」

「ああ、だからどっちかについていってもらおうと思ってる」

 ビウンはハッセンと目を合わせる。ハッセンが頷く。

「両方で行くことにする」

 真顔で変なこと言ってるよ。どっちかって言ってたでしょ、まあ二人来るなら心強いけどさ。

「じゃ、それで決まりだ、一周間後だから準備しとけよなぁ」

 前日に言わないところにホワイトを感じる。黒だけどね。

 皆が解散する。じゃあ、今日も頑張るか。


「出発するぞ、いいか?」

 ハッセンが頷く。

「僕もいいよ」


 気づくとそこは黒以外の色のある世界だった。転移先は草が延々と広がる平地だった。

「敵はすぐに来る、戦神三、転生神二だ」

 いやもう、なんか知ってた。そんな気がしてた。準備はできてるからいいけど。

 ハッセンは再度剣を確認している。両腕にナイフ三本づつ、腰の横に四本の短剣、後ろにも一本、背中には大剣だ。本人によると身長は一四六センチ、大剣が二メートルぴったりらしい。うん、頭おかしいね。

「ハッセン、それ動きを阻害したりしないの? あと、本当に使うの?」

 確認が終わったタイミングでそう質問すると、足で土を草ごと抉り始めた。


 ヤッテヤル


 あれ? 足で書いた方が上手くないか? それはともかく、やってやるというのは一つ目の質問の答えか。二つ目は愚問ってことか。

 更に何か書き始めた。


 サイ上98


 最高九八本ってことですか。一度見てみたいぐらいだね。


「来たぞ」

「ああ、うん」

 あーこれ囲まれてますね。

「黒の神! ここはもう我々のものだ! 死にたくなければ帰りたまえ!」

 声が響く。どんな声量してるんだよ。そんなこと言わなくても……


 吹き飛んだ。音もなく、光もなく、突然敵が吹き飛んでいく。そして、二つ、三つと爆発は連鎖する。


 まるで、地球のロボアニメみたいで綺麗だなー。

 爆発と砂煙が治まり、敵の姿が見えてきた。あの生き残りがいる二つの部隊は転生神が守ったのかな。他に生き残りは……


 背後で金属がぶつかり合う高い音がした。振り返ると、ハッセンが大剣で相手の戦神の剣を弾いていた。

「ありがとう、ハッセン」

 ここは戦場だ呑気に突っ立てる場合じゃなかった。戦わないと。

「少年、転生神の方はどうにかする。ハッセンの方を援護してくれ」

「分かったビウン」

 さて、どう援護するか、ハッセンはいったん大剣を地に刺して、短剣の二刀流で相手の戦神二人と戦っている。二人分の攻撃を捌いて、反撃もしている。なんかしたら、むしろ邪魔か。それなら僕は潜んでいるだろう、もう一人に警戒かな。


 このなにもない平原なら、不可視の状態だと考えるのが普通だろうな。僕には見える、敵が見える、敵が見える。無理だな、イメージできないし。とりあえず半径一〇メートルぐらいに魂を周りに散布する。索敵できるかな。

 来てる……速い!?

 直線的な動きを、横に避ける。僕のいた場所を通り過ぎ、消えた。何だったんだ?

 もう一つ来てる!? さっきのは囮か?

 僕の周囲に爆発を起こす。これで止まるといいんだけど。

 止まんないよね。やっぱり、僕じゃ火力足らないな。接近してきた敵に剣を振る。避けられる。背後に回られ地に叩きつけらる。更に上に乗られ、頭を掴まれる。そして、姿を現す。

「裏切り者さん、こんにちわ。わざわざ会いに来てくれてありがとうね」

「どういたしまして。僕としては殺さないでくれると嬉しいんだよね」

「それはできない。それより君ってさ、魂術が得意なんでしょ? 俺もそうなんだよね。でさぁ、俺と勝負しない?」

 魂術が得意って、お前それでも戦神かよ。まあ、僕だけで勝てる可能性ができたことを喜ぼう。

「ああ、い……」

「よし、じゃあ始めだ」

 人の言葉を遮るなよ。


 僕の魂を相手に同調、浸透……あれ? できない。なんか痛い。これ敵さん、無理矢理僕の魂弄ってぶっ壊そうとしてる。まじか、それはないでしょ。きちんとマニュアルどうり、同調、浸透、破壊、捕喰って順番でやれよ。お前のは、破壊、捕喰だよ。相手に同調させて入り込み、中から壊すのが僕だ。それに対して、あいつは外から相手の魂を潰して壊すって感じかな。


 じゃあ、久しぶりに捕喰といきますか。

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