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就職

 今日もスマホの振動が午前六時三〇分を伝えてくれた。二度寝したい気持ちをおさえ、布団からでる。今日もゲームをしなければ。

 冬の外はやっぱり寒いなと思い暖房をつけようとした。しかし、夏と冬に毎日聞く季節感のある機械音はいっこうになってくれない。壊れたら凍死してしまいそうなのですがそれは大丈夫なんですかね。夢でないことを確かめるため、顔を洗う。もちろん、自然乾燥だ。自分でも何がもちろんかわからないが自然乾燥だ。思考力を取り戻すためには、糖分補給が必要だ。冷蔵庫を開ける。中には、メープルシロップ、チョコレート、ジャム等最低限のもの、冷凍された食パンは、下の段にストックされている。パンを1枚取り出そうと手を入れる。いつものような冷たさがない。冷蔵庫も壊れた……いやまてよ、これはブレーカーが落ちているだけなのではないか。そう思い分電盤を確認する。やっぱりそうじゃないか。そして、スイッチをカチリと上にあげた。


 どーん


「はじめまして、こんにちわ、私は転生神のエリアといいます」

 そこは我が城でわなく白い部屋だった。そして、目の前には肌、髪、服と全て白い美少女。いや、目は灰色かな。

「あのー、聞こえていますでしょうか」

 これってもしかして死んだ? もしかしなくても死んだよね。というかそれより

「どーんってなんなんだよ! なんで音だけで惑星一つ消し飛ぶぐらいの爆発がそんな擬音になるんだよ! 小学生並の感想かよ、ふざけるな! 死ぬならもっと格好いい死に方したかったよ! でもこのあと異世界転生できるんですよね、そうですよね、やっぱりそうでしたか。そうだと思ってたんですよ。いやー、前から少ししてみたいなと思ってたんですよ、異世界転生。うれしいなー」

 思ったこと適当に全部いってみたよ。てか、あの神、何か紙に書いてる? 記録されてたら恥ずかしすぎる。

「状況は理解しているそうですね。これからあなたにはいくつかの質問について、答えてもらいたいと思います。これはあなたの言った通り、転生に関わることです。正直に、しっかりと考えた上で答えてください」

「はい。つまり適正検査と本人の希望する転生先を調べるということであっていますか」

 まずいですよ。興奮と期待でもう死にそうですよ。

「ほぼその認識で大丈夫です。ではまず、住所、名前、生年月日、性別について記入してください」

 一枚の紙を渡される。日本海底都十一区四五一四番棟の八一〇号室、古城 靈(ふるしろ れい)、一二九五年四月三日、男、とパパパッと書いて終わり。

「性別ってみれば分かると思うんです」

「希に違う容姿でここに来る人もいるためです。終わりましたら見せてください」

 そうなのか。魂の形がどうたらこうたら、とかかな。

「見せてください」

「はい、どーぞ」

「これは本当には嘘、偽りなく書きましたか?」

 ばれた。さすがにばれた。やっぱり歳偽るとばれるな。

「少し試しただけですよ。どうやら神というのは、本当見たいですね」

 なんかそれっぽいこと言ってやったぜ。訂正したうえで、再提出だ。

「……まだ、おかしいですよ。一一九四年生まれとはどういうことでしょうか」

 ここは素直に謝るのが一番だとおもう。

「鯖読んでごめんなさい」

 にらまれた。むしろ嬉しいかもしれない。

「少々お待ちください」

 どこかに走っていった。まあそんなことはいいか。それより何を書いていたんだか。


 特定不可個体No.13

 対話記録

 ・突然叫びだすなどの奇行から精神状態の異常が考えられる。

 ・口調が統一されていないことから、複数の魂が混ざっている可能性有り。

 ・世界番号3245の23タイプの人類でありながら、音魔法による振動増幅爆発について理解、また元となる音が『どーん』であったと何が起きたのかを死ぬまでの僅かな時間で理解していることから、超人であると考えられる。

 ・転生を一度してみたいと言う発言に、偽りが感知されたため、以前にも転生歴があるとおもわれる。

 ・1295年と年齢を偽る、1194年に訂正、これは嘘として感知され無かった。

 →一つの魂にとって真実であるためか?

 その他

 ・魔力は感じられない。そのほかの異能も感じられない。

 対処

 招待が特定できるまでは、このまま隔離しておくのが妥当と思われます。また、危険性が判明した場合には、ただちに消去してください。

 観察担当 エリア


 はぁ? なんだこれ。僕こんなんじゃねぇよ。と言いたくなるような酷い言いがかりだね。他よりだいぶ長生きしてるだけだよ。それに魂が混ざっているんじゃなくて、僕のもn……

 気配を感じ振り返る。

 エリアがいた。

  「それ返してください」


 研ぎ澄まされた僕の体内時計によるとあれから三日ほどたった。なにも食っていないが、腹は不思議とすかない。睡眠もしていないが、眠気はない。それより重要なことは、ここには娯楽がなかったことなのだ。それならこの部屋に住民である僕自身が娯楽を手に入れるしかない。

「集金でーす」

 反応無し

「宅配便でーす」

 反応無し

「少し話したいんですけど」

「何ですか?」

 エリアさんの声だ。

「こんにちわ、三日ぶりですね。娯楽が欲しいんですけど」

「それはできません」

 それくらいくれよ。ケチ野郎のエリアって呼ぶぞ。

「わかりました。ケチェリアさん」

「他に有りますか?」

 ケチェリアには触れないんですかそうですか。

「ないです」


 それから一週間後

「転生の準備ができました」

 削除されないと言うことは、僕の安全性が証明されたのかな。

「あなたが転生する世界はイェンスイードという世界です。ここはあなたの世界の作品の異世界、剣と魔法のファンタジーだとかそんなかんじのところです。あなたにはなんのスキルも与えないことになっています。自分で頑張ってください。最後にて転生する生物を決めます」

「人間でお願いします」

  魔法陣が足元に浮かび上がる。赤い光を発し、幻想的に輝いている、次の瞬間光が弾け、視界が全て白になる。目を開けるとそこには、エリアさんがいた。


「もしかして、失敗ですか」

「いいえ、あなたには働いてもらいます」

「はい?」

 働きたくないでござる。

「あなたの正体と、能力の有用性が判明しました。今のは神として認証する魔法です」

「全部わかっているんですか」

 僕の異世界転生無双の夢は潰えた。すごい悲しい。

「あなたは魂だけの幽霊で、人、もの、に乗り移ったりすることで暮らしていた。あなたの能力はその魂の大きさによって生まれた。普通はゆっくりと魂を浸食する、けれど、あなたのそれは魂の捕食、魂を一瞬にして飲み込んでしまう」

「そうですね。合ってます。 なぜ分かったんですか」

 この神相手を一つ知ったら、全部知った気分になるやつだ。植え付けられた情報をまんまと信じ込んでるよ。

 まあ、植え付けたっていっても、今の僕はちょっとホラを混ぜただけだけど。

「惚けても無駄です。私を乗っ取ろうとしたでしょう」

「あとすこしで喰えたんですけどね、邪魔が入らなければ」

 本当は今すぐにでも喰えるけどね。

「では、勤務内容について説明します。勤務時間午前六時三〇分から午後六時三〇分まで、私と一緒に転生に関する仕事をしてもらいます。以上です」

 それだけですか。ブラックな職場なのかな?

「地球で生活していた頃と同じ環境を用意するならいいよ。あと、とりあえず甘味をください」

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