00:30
サブタイの時間表記間違ってたね。修正しといたけど、前話までの内容は変えてないから、一部違和感ある書き方してたら許してw
「お客さん、着きましたよ。」
「ん、・・・ああ、寝てたのか俺は。へえ、これはすごい。」
運転手の声に起こされた俺は、寝ぼけ眼で周囲を確認し、感嘆の声をあげた。辺りは青々とした草が生い茂る高原で、一部分にはひまわりが群生している。
後ろを振り返ってみると、大きなログハウスがあり、中からは人の賑わいが微かに聞こえた。
「どうです?ご希望には添えましたか?」
「ええ、まさにこんな感じの物を期待してたんですが、素晴らしいの一言しか出ないですね。」
周りの風景、虫や鳥のさえずり、何より心地よい風と日差しにより、今までのすさんでいた心が洗い流されていくようだった。
「本当にいい気持ちだ。こんなにいい天気で、どれだけ寝てたのやら。・・・あれ?」
ポケットから携帯を取り出して、時刻を確認してみると、そこには"00:30"の表示している。
しまった、携帯が故障してしまったか、バグったかな。ネットと同期させれば正しい時間に修正されるかもしれないが、生憎今は圏外だった。こんな場所では電波が届かなくても仕様が無いだろう。
運転手ならばわかるだろうか?と思い、問いかけてみる。
「すいません、今って何時かわかりますか?」
「今かい?ええと、12時半だね。」
12時半。なんてことは無い言葉のはずなのに、今はすごく引っかかりを覚える。
「もうお昼過ぎなんですか?」
「いや、深夜12時30分。0時30分と言ったほうがわかりやすいか?」
「ちょ、ちょっと待ってください!こんなに明るいのに!太陽が昇っているのに!それなのに深夜なんですか!?」
まさか知らぬ間に国外へ出発していて、日付変更線を超えたとかじゃないよな?
「間違いなく、今は深夜0時30分さ。ここが明るいのは、君がこの場所を望んだからだよ。」
「俺が望んだから?」
「そう。言っただろう?これは"お客さんが行きたい所に行くもの"だと。」
ポケットからタバコを取り出しながら、なんでも無い事の様に、淡々と述べた。
「じゃあ、過去に行きたいと言ったら?」
「運ぼうじゃないか。」
カッカと運転手は笑い、楽しそうにタバコを吸い始める。
なんという事だろう。俺が望めばどこへでも、時間すら無視して運ぶと言う。
それこそタイムトラベルが可能だ。
衝撃の事実に、俺はただぽかんと開けて、風に身を任せるしかなかった。