仲間探し①
大陸サウリアの東にティタルニアという国がある。大陸中央から東の平原や丘陵地帯を中心に、大陸の半分近くを領土に持つ大国である。その首都サウロニアは大陸一の都市であり、学者、商人、職人、そしてハンターなど様々な人々が大陸中から集まってくる。ハンターとは、依頼を受けて危険世界の狩猟や辺境地の調査、必要素材の調達など、自然環境におけるあらゆる仕事を請け負う。常に危険が伴う反面、未開の地に果敢に進んでいくその姿は、人々の憧れだった。
サウロニアの中心街にある大衆酒場は、そんなハンター達で昼間からごった返していた。
ふと酒場の扉が開いたと思うと2人の若いハンターがカウンターに向かって歩いてきた。
1人は獣竜族の青年で、背中に大剣を背負い、燃え盛るのように立った赤髪と、鋭く力強い目つきが特徴的である。腰からは髪の色と同じ赤い鱗で覆われた尻尾が生えている。もう1人は甲竜族で、目元は前髪で隠れ、後ろ髪を髪紐で束ねている。全身武装した体は赤髪の青年よりも頑丈そうで、甲竜族の特徴である装甲で覆われた尻尾は、先端に大きな塊が付いている。2人の名は赤髪のほうはレックス、黒髪のほうはアクロスという。2人ともまだ若年ながらどんどん実力をつけてきていると、最近話題になりつつあるハンターだった。