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あなたのために殺します。

他サイトに投稿したのを持ってきたやつです。短編その2。


たまーにある「殺し屋の女の子が俺を守ってくれるなんて(ドキっ」な内容に対する不満を爆発させたあれです。


私はこっちのほうが好みです。

私は殺し屋です。


幼少の頃に親に捨てられ、とある組織に拾われ、戦闘訓練を積み、人殺しを手伝い、立派な殺し屋になった6月21日満18歳です。

殺せば殺すほど褒められました。弾丸を当てれば当てるほど微笑まれました。でも、時折彼らは悲しそうな顔をするので、私はもっと頑張りました。

私はどんどん腕をあげました。自惚れでしょうか。でも、ほんとにスコアは伸びていきました。


そしてその日、18歳になった日、私はある人の護衛に付けられました。

日本に住む私と同い年の少年の身辺警護です。いえ、正確には、"彼に降りかかる脅威の完全排除"です。

彼は私のボスの遠い親戚で、今のところは日本で平和な生活を送っているただの高校生です。

当人はそのことを知らなかったみたいで、私が最初に彼にこれからお世話になるとお伝えした時、大変驚いていました。


私は彼の高校に転入し、また住まいも彼の家に一室をお借りすることとなりました。

日本はとても規制の厳しく管理も徹底された国で、私はたった一丁の小型拳銃とその消音機しか持たされていませんでした。

されとて、私にとっては大した問題ではありません。私は立派な殺し屋だからです。


私は彼のために熱心に働こうと思いました。仕事に全力で励むのは、プロとして当然のことです。


私は彼のためにまず、彼から毎日1000円札を徴収している彼の同級生を殺しました。

殺したといっても拳銃は使っていません。この国の警察は大変優秀であり、拳銃を使ったことが分かれば厳戒態勢を敷かれてしまいます。

だから私は、彼の同級生に対して好意を持っているように数日接し、夜中に山近くの小屋へと呼び出し、飛び掛り、首を絞め、窒息させました。

彼の同級生は体格が大きかったためやや苦労しましたが、普段から筋力強化を怠らない私からすれば子どものようなものです。

いや、彼は子どもですから、大人を絞め殺すよりももっと簡単でした。


翌日、彼は同級生の突然の失踪に大きく動揺しました。何故失踪扱いかというと、私が山の中に埋めたからです。

もちろん彼には真実を話したほうがよいと思ったので、事情を説明しました。

彼はとても驚き、酷く悲しみ、そして私を睨みつけ、誰も殺さないでくれと言いました。

うう。私は失敗してしまったようです ――― 確かに日本で死体を作るのは、万が一を考えると得策ではありませんね。


それから一ヶ月ほどして、彼をからかう女子が数名目立つようになりました。

彼は一般的にオタクというタイプの人らしく、それを理由に嫌がらせを受けるようになりました。

私は彼女らが夜遅くに無断で学校の体育館倉庫に集まり、飲酒や喫煙をしていることを調べてありました(同じクラスの生徒の生活パターンを調べてあります)。

彼女らが喫煙を始めた頃合に改造した燻蒸式殺虫剤(今回はバルサンという商品を使いました)を携帯電話で起動させました。

仕組みは簡単なもので、やろうと思えば私でなくても誰でも作れます。手製爆弾と発火原理は同じです。


彼女らが異変に気が付いたのは煙が充満し、すっかりそれをいっぱい吸い込んで、舌の痺れや頭痛、吐き気を感じ始めてからでした。

窓を開けようと彼女らはしましたが私がガムテープでしっかりと固定しましたし、扉にも当然鍵を外から南京錠でかけました。

学校の警備員の方は既にここの見回りをしており、そして二度目の見回りはしません。だから彼女らも今ここで集まっています。


そして彼女らが酸欠とその他諸々の有害症状に体力を奪われ、ぐったりとした頃合にガスマスクを付けた私が入ります。

ガスマスクもこの前町のチャリティーフリーマーケットでたまたま売っていたものを買いました。これはラッキーです。


「みなさん、もう彼に嫌がらせをしないでください。誓うなら救急車を呼んであげます。」


私はそう告げました。彼女らは全員一致で誓ってくれました。


そして私はデブリーフィングも欠かしません。彼に報告しました。

また彼はとても驚き、苦虫を噛み潰したような表情をし、私に、俺のことは放っておいてくれと言われました。

私はそれを了承せず、任務なのでだめですとお答えしました。


彼は、私を通報しました。


そして私は彼の両手首を折り、口をガムテープで塞ぎ、買っておいたロープで簀巻きにして、急いで家を飛び出しました。

数分で彼の両親が彼に気付くことでしょう。私は携帯電話でボスに電話しました。

お前を派遣した俺がバカだった、と言われました。


私は何を失敗したのでしょうか。私はバカなのでしょうか。


誰も教えてくれません。


私の手には携帯電話と、消音機付きの拳銃。

あの家にはたくさん私の指紋と髪の毛があります。そして私の記録があります。


これを読んでいるあなた、警察の方でしょうか。それともあなたですか?


私は一度密かに家へ戻り、これを今記しています。


私は殺すことしか教えられていないので、殺すことしかできません。



だから、あなたたちを殺します。私は自分の腕前に自信を持っています。自惚れでしょうか。

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