いないのならば
期待に飢えて手を伸ばした
とろけるような妄想が頭を満たしていく
窓際に座る花緑青が光を見つけた
冷たい風が強く吹いた
結露をなぞって風を吐いた
此処に無いものばかりいつも目に付いてしまうのは
凍り付いた日差しに割れたビー玉
きっとずっと貴方は居なかった
香水の匂いが鼻をつく
甘い匂いに誘われて脳が記憶を探っていく
思い出したくない記憶が花を咲かせた
暗い夜を見ていたのだ
ガラスの破片が恋をした
心臓に刺さった棘が絡みついて離れないのさ
日差しは今日も公平に人を照らす
きっとずっと貴方のために
文字盤と睨み合った
日の出の灯りが目に刺さる
ちくちくした言葉だけが見えてしまって
手を伸ばす届かない大きな闇へ
小さな大切なはずの言葉だけ
嘘に聞こえてしまったんだよ
貴方ならこう言うのさ
「大丈夫だよ」それさえ嘘に聞こえる私は
生きていていいのだろうか
ずる賢く生きればいい
ある人はそう言った
誠実に徳を積めばいい
ある人はこうも言った
最後まで諦めずに前を向け
ある人はそして背中を向けた
「嫌いだ」
それも嘘に聞こえてほしかった
貴方のため
貴方のため
全部全部そうやって耐えてきた
暗い、怖い、寒い
食らい、壊す、だけ
ただそれを夢に見てた
ただその時
貴方がいないのならば
いないのならば
どうやっても知りえない
貴方の想いを知ろうとしてしまったのは何故だろう




