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国語教本  作者: 家内ツマ
プロローグ
1/14

第一話 ようこそ萬部へ

国語教本。この物語は国語の教科書でお馴染みのキャラクター達が活躍する作品です。主人公、高校生の戸部はある日とある部活の勧誘を目にします。彼はその勧誘に興味を持ち、その部活“萬部“へ向かって行き───

 「お前は俺を意外とハンサムだと思ったことが──あたかもしれない。」


 あの言葉を放ってから三年が経った。俺は戸部、高校一年生だ。あの言葉を放った幼馴染とは別の高校に進学して、半年程経つ。丁度今は校庭に銀木犀の花が咲き始める時期だ。銀木犀を見ると幼馴染との思い出が淡く蘇る。


 俺は今、帰宅部だ。俺は中学生の頃はサッカー部に所属していた。しかし中三の春に大怪我をしてしまったのだ。そして俺は高校受験を控えていた事もあり、サッカーを引退した。高校に入学した後も特にやりたい事はなかったため、今は帰宅部なのだ。でも、部活をやっている方が大学受験や就職で有利らしいから、何かしらの部活に入ろうと考えていた。


 そして今、どの部活に入る迷っているところだ。

 しばらく部活の勧誘が書かれた掲示板を眺めていた。その時、一つの部活が目に留まった。そこには「萬部(よろずぶ)」と書いてある。

萬部とは何だろう、ボランティア活動でもするのだろうか。すると突然、

「君、萬部に興味があるのかい?」

 と、声をかけられた。

「えっと、まぁ。」

 声がした方に目を向けると、一人の男が立っていた。どうやら三年生の先輩のようだ。

「それなら僕に付いてくるといい。」

「あ、ありがとうございます。」

 断るのも申し訳ないので、とりあえず付いて行く事にした。


 掲示板のある二階から階段で四階に移動した。四階は上級生の教室しかないため、あまり立ち入った事がない。少し新鮮な気分だ。

 移動中にいろいろと会話をした。

「僕はエーミール、君は?」

「戸部です。」

「戸部君ってさ、スポーツの経験はある?」

「中学までサッカーをやっていました。最近は全然やってないですが。」

「そうか、じゃあ大して心配はいらないね。」

 心配はいらない?どうゆうことだろうか。よくわからないまま、四階の廊下の奥にある小さな部屋に辿り着いた。

「ここだよ、さ、入って。」

 と、エーミール先輩はドアを開けてくれた。

「ありがとうございます。」

 中に入ると、そこには三人の生徒が居た。

「部長、お疲れ様です。」

「よっ、エーミール。」

「うっす。」

 そこに居た三人はそれぞれ挨拶をした。

「この子、萬部に興味があるみたいだよ。」

「本当ですか⁉人手が足りなくて困ってたから助かります〜!」

「そうだな。」

「お手柄だなエーミール。」

 三人がこちらに寄って来る。

「萬部へようこそ!歓迎す──」

「あの俺…まだ入部を決めたわけじゃ…」

「え、そうなのかい?」

 エーミール先輩は不思議そうな顔をした。

「そもそも活動内容も知らないですし…」

 そう、俺は何も説明されていないのだ。

「エーミール、この子に何の説明もせずに連れてきたのか?」

 と、ローマ人のようなパーマのかかった髪型の男がそう言う。

「そうだね、まずはいろいろ説明しないと。」

 と、エーミールが言う。

「萬部ではいわゆる『何でも屋』をしているんだ。依頼を受ければ迷子の猫探しから害獣駆除まで、いろいろやってるよ。」

 と、エーミールは続けた。

「それから部員の紹介もしよう、僕が部長のエーミール。」

「俺はメロス、エーミールと同じ三年生だ。」

と、ローマ人のようなパーマの男が言う。

「兵十。二年だ。」

と、ボソッと口にした。この兵十という人は狐のお面を付けていて、素顔が見えない。

「シュンタです。君とは同じクラスだね。」

 確かにシュンタはクラスメイトだが、喋ったのは今が初めてだ。彼は普段誰とも話していない。いや、誰とも話していないというより、何もない所に一人でブツブツと喋りかけているのだ。それ故、クラス内では近づき難い存在であった。

「一年生の戸部です、よろしくお願いします。」

「部員はこれで全員。他に気になることはあるかな?」

「そうですね…顧問の先生はいるんですか?」

「あぁ…実は───」


to be continued

読んで頂きありがとうございます。良ければ、次のエピソードも是非読んでください。

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