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星に願いを

 イデ山での羊飼いの仕事は過酷を極めた。ニキアスは朝から晩まで僕をこき使った。


 いや、夜も羊小屋の番をせねばならないため、寝れるのは一日3時間程度。それも何かあれば飛び起きねばならない。この世界には魔物がいるのだ。いつ襲ってくるのかもわからない。

 そして、羊が魔物にやられてしまうと、ひどいときには鞭で打たれ、ろくな食事にもありつけなかった。そんな時は羊たちの飲み水を一緒に飲んで空腹を満たした。


 幸い、羊飼いの固有スキルである【索敵】を早々に取得でき、また【回復速度向上】や【暗視】のスキルも取得できたので辛くはあったがなんとか生きていけた。


 そうして羊飼いになって3年、僕は毎晩星空を見つめ、星々を線でつなぎ夜空に平凡だが幸せな暮らしを描きながら星々に願った。


『以前のような贅沢な王宮暮らしじゃなくていい、鞭で打たれず人並にベッドで眠れる平凡な暮らしが欲しい…』



 キラーン☆ミ



 ある日、いつものように夜空の星々に願いを込めていると一つ大きな流れ星が流れた。

 そして、その瞬間、あたり一面真っ白になり、その中央に一人の髭面でマッチョな男性が立っていた。


「わが名は大神ゼウス。そなたにとある神同士の揉め事の裁定を頼みたい。」


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 そして僕のジョブは【審判】になった。


 ――――――――― ステータス ―――――――――

 名前:パリス 年齢:15歳 種族:人族

 ジョブ:審判

 スキル:

 ・幸運:転生者ボーナス。少し運が良くなる。

 ・裁定 レベルMAX:審判の固有スキル。審判が下した裁定に誰も異を唱えることができなくなる。

 ・索敵 レベル2:羊飼い固有のスキル。

    外敵の存在・大体の位置を察知することができるパッシブスキル。レベル2で200m程度。

 ・回復速度向上 レベル3:

    HP(体力)MP(マジックポイント)回復のスピードがアップするパッシブスキル。

    レベル3になると眠らなくてもHP・MPが大幅に回復する。

 ・暗視 レベル2:暗闇で物体を見ることができるパッシブスキル。

 ――――――――――――――――――――――――



 その次の晩から3日間、3柱の女神が次々と寝ずの羊小屋の番をしてる僕の訪れた。


『黄金の御座のヘーラー』


 彼女は大神ゼウスの配偶神で結婚と母性、貞節を司る最高位の女神で十二神の一柱だ。


 さすがに大神ゼウスの妻だけのことはあり、この世のものとは思えない(女神なのでこの世のものではないのだが)ほど美しいが、気の強そうな印象を受ける。


 彼女は僕にこう提案した。


「あなたをアシアの君主にして差し上げよう。だから黄金の林檎をわらわによこしなさい。」


 アシアとはイリオスのあるこの辺り一帯のことだ。

 初めて聞いたときは、前世でのアジアのことかと思ったが小アジアの西部の海沿いの地域をさす。


「君主とか面倒なので遠慮します。」


「え?ええぇぇぇぇぇ!羊飼い風情が何を生意気な!君主になれば贅沢し放題ぞよ?」

「別に贅沢したいわけではないです。生活に困らない程度のお金があれば十分です。」


「で、では、お金は!?アシアの君主同等のお金をあげるわ。これでどう?」

「そんなにお金を受け取っても保管できないので…あ、【無限収納】のスキルってあります?それを付けてくれますか?」


「も、も、もちろん、よ、よいぞっ。そのようなこと、わらわにとっては朝飯前ぞ。」


「では、考えておきますね。」




『知恵の女神アテーナー』


 知恵、芸術、工芸、戦略を司る女神で十二神の一柱で大神ゼウスの娘だ。


 さすがにヘーラーと林檎を奪い合いだけのことはあり、この世のものとは思えない(女神なのでこの世のものではないのだが)ほど美しいが、気の強そうな印象を受ける。


 彼女は僕にこう提案した。


「あなたにあらゆる戦いにおける勝利を約束しましょう。だから黄金の林檎は私によこしなさい。」

「僕はもう王族ではなく、しがない羊飼いですので、戦争とかしないですよ。」


「で、でも魔物とかと戦わないといけないことはあるでしょ?」

「でも、勝たなくても追い払えれば十分ですから。」


「では、それ相当のスキルを…」

「もらえるスキルは1つですか?」


「え、あ、では3つほど」


「そのスキルは自由に選ばせてもらえますか?」

「も、も、もちろん。私の知恵の及ぶ範囲であれば可能です。」


「では、考えておきますね。」




『愛と美の女神アプロディーテ』


 愛と美と性を司る女神で十二神の一柱だ。


 さすがに愛と美の女神、可愛らしさも秘めつつ、この世のものとは思えない(女神なのでこの世のものではないのだが)ほど美しく艶めかしい。


 彼女は僕にこう提案した。


「地上で最も美しい女を与えましょう。なので黄金の林檎を私にいただけませんでしょうか。」


「相性が合う女性じゃないといくら美人でも意味ないんですけど、その、地上で最も美しい女って誰ですか?」


「今ですとスパルタ王の娘、エルフの中でも最も美しいとされるヘレネーではいかがでしょうか?彼女なら私を信仰していますので問題はありません。」


「エルフかぁ~。エルフって噂でしか聞いたことないんですけど、噂どおりのエルフなら美人そうですね。それは一人だけですか?」

「え、えっと…」


「あ、でも相手がスパルタの王女様となるといろいろと大変そうですね。」

「え、あ、スパルタ王家まるごと私を信仰していますし、優秀な跡継ぎもいますのでもめることはないかと。」


「ん~どうしようかな。」

「そ、それにで、では…、それでは美女3人でいかがでしょうか?」


「あとの二人は?」

「えっと、その、探しておきます…」


「そうですか、では、考えておきます。」


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