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大神ゼウス

「なぜそのような大事なお役目を、私のような者に?」


 大神ゼウスはパリスに言った。


「少し前、とは言っても20年ほど前じゃて、お主ら人間にとっては随分前になるのじゃが、オリンポス山にて海の女神テティスとアイギーナ王アイアコスの子ペーレウスの結婚を祝う宴があったのは知っておるか?」


「申し訳ありません。存じません。」


「まぁ、それもそうかもしれんのう。そなたがこの世に生まれる前じゃからのう。その宴には全ての神々が招かれたのだが、不和の女神エリスだけは招かれなかった。


 まぁ、エリスを招かなかった側の気持ちもわかるのじゃ。不和の女神じゃからな。結婚を祝う宴には不向きじゃろうて。

 しかし、エリスにしてみたら好きで疎んじられる役目をやっているわけではないでのう。


 怒ったエリスは、策略をめぐらしよった。宴席に『最も美しい女神へ』と書かれた黄金の林檎を投げ入れたのじゃ。」


 大神ゼウスはため息をつきながら続ける。

「それでじゃ、はぁ~。おぬしはどうなったと思う?」


「まったく想像できません。」


「エリスのやつは、さすがというか、なんと言うか。不和の女神だけあって悪知恵が働く。


 女というものは、常にかつ最も美しくありたいと願うものじゃ。それは人間だろうが女神だろうが変わらぬ。

 いや、美しさでは他の誰にも負けないと自負する女神だからこそ他の者にそれを譲ることはできなくなる。


 この黄金の林檎を、神々の女王で我が妻ヘーラー、我が娘で知恵の女神アテーナー、愛と美の女神アプロディーテの3柱が奪い合ったのじゃ。

 そして宴が終わってからもこの3柱のいざこざは続き、いやますます悪化し収集がつかなくなってしもうた。


 こうなってしまってはわしが仲介しようにも、やれ『また他の女に色目を使って浮気しようとしてる』だの、やら『パパは私が可愛くないの』だの、『身内びいきするつもりか』だのまったく聞く耳を持たぬ。


 いや、その浮気についてはわしが悪いのじゃが、3柱ともまともに話すら聞いてはくれぬ。せめて色仕掛けするなり、他にやりようもあるじゃろうに…


 ごほん。おっと、まぁ、それはそれで置いておいてじゃ。


 他のオリンポスの神々に裁定させようにも、そもそも知恵の神アテーナーは当事者であるし、わしの次に強い海を司る神であるポセイドーンには、海以外のことには関わらぬと断れてしもうた。

 そしてその他の神々も誰もがいずれかの女神の親戚じゃて、どのような裁定を下しても波風が立つからと、最高神であるわしの頼みを断りよった。


 仕方なしにオリンポスの神々以外の地上の人間に裁定させようと思ったのじゃが、人間の誰かに裁定させるにしてもいずれかの神もしくはその関係者の神を信仰しておる。これでは、公平な裁定は務まらぬ。


 そこで、閃いたのじゃ。たしか数年前に異世界の神から預かった、どの神も特別強く信仰しておらぬ信仰心の薄い転生者がおったなと。

 どの神も特別強く信仰しておらぬ転生者のお主であれば公平に裁定できるのではないかと。


 どうじゃ?良いアイデアじゃろ。


 3柱のうち誰にこの黄金の林檎を与えるのがよいか、しいてはどの女神が最も美しいのか、3柱の話を聞いて決めてくれぬか。」


「今の私はただの貧しい羊飼いです。私のような者が、そのような大事なことを決めてしまってよろしいのでしょうか。」


「構わぬ。そなたのジョブは、既に取得しているスキルはそのままに【審判】に変更する。牧羊神のパーンがそなたを手放したがらなかったが、わしが説得した。


 このジョブ【審判】の固有スキルの【裁定】のスキルも与える。大神たるわしの与えたジョブじゃ。このスキルはレベルMAXにするでのう、これで何者にもお主の裁定に意を唱えることはできんようになる。


 黄金の林檎はそなたに預ける。いずれの女神もお主に魅力的な条件を提示するじゃろう。お主がいちばん良いと思った条件で決めてくれて構わぬ。」


 そう言うと、大神ゼウスは消えてしまった。


 大神ゼウス「これも人が増えすぎて大地の負担が重くなりすぎた故、人の数を調整するためじゃ。悪く思うな。」


しょっぱなから長セリフ…

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