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運命の人

「あぁ、あなたがパリス様!私の運命の人!」と突然、大きな声をだす。


「運命の人!運命の人!運命の人!…」洞窟内にコダマが響き渡る。


「あ、運命の人というのは、私が彼女にそう言いました。」とアプロディーテが小声で耳打ちする。


「わ、私はヘレネーと申します。パリス様にお仕えするとアプロディーテ様にお約束したていたのに、このようなことになってしまい申し訳ありませんでした。」


「あ、うん。それはいいんだけど、なんでこんなところに?」


「はい。既にご存知でしょうが、私はスパルタ王テュンダレオースの娘ということになっていますが、実は白鳥に変身した大神ゼウスと王妃である母レーダーとの間の不義の子です。」


 え?そうなのと、アプロディーテを見ると。


「すみません。お伝えしてませんでした。はくちょう座はその時の大神ゼウス様の姿だと言われています。一番明るい星を股間に持ってくるあたりゼウス様らしいですね(笑)。

 それはともかく、大神ゼウス様が女神ネメシスに迫ろうとして、ガチョウに化けて逃げた女神ネメシスを追いかけるために白鳥に化けたという話もあり、女神メシスが生んだ卵をテュンダレオース・レーダー夫妻に預けたという話もありますが、神同士の子であれば無条件に神になりますが、ヘレネーさんはレーダーさんと同じエルフに生まれましたので、おそらく違うと思われます。

 ちなみにヘレネーさんは神の子もありますが、エルフに生まれたので不死身ではありません。」とアプロディーテ。


 ん~。どちらにせよ大神ゼウス様の子だって黙ってたんだね。今晩はお仕置きだね。それにしても、大神ゼウス様の子って知ってての、黄金の林檎の時のあの提案はまずかったんじゃ…


「しかし、父テュンダレオースは、私同様に白鳥に変身した大神ゼウス様と王妃である母レーダーとの間の子であるカストールとポリュデウケースの双子の兄ともども、実の子同然にかわいがってくださいました。


 双子の兄たちは、アルゴナウタイの冒険にも参加した英雄で、父が高齢のため戦場に立てなくなってからはスパルタ軍を率いて国を守っておりました。双子の兄たちは仲も良く、スパルタの王位継承の問題も心配はいらないと判断し、次に父は私の婚姻相手を探し始めました。


 そして私の婚姻相手を探しているとの噂を聞きつけたギリシャの各地から求婚者が集まってきました。それはそれは各地の王族やお金持ち、有名人がたくさん名乗りを上げました。


 父テュンダレオースは、どの人物を選んでも恨みを買い争いになることを予期し、その中の一人であるイタケー王オデュッセウスの提案に従い、彼らに『誰が選ばれるにしても、その男が困難な状況に陥った場合には、全員がその男を助ける』と誓わせました。


 そんなある日、兄達が率いるスパルタ軍は何者かの策略に嵌ってしまい、私同様にエルフに生まれ不死身ではなかったカストールが神として生まれたポリュデウケースを庇って戦死してしまいました。


 ポリュデウケースは自分は神の血を受け継ぎ不死身の身なのに、そんな自分を庇って戦死した双子の兄カストールが死んでしまったことを悲しみ、実父である大神ゼウス様に自分もカストールの元に行かせてくれるように懇願し、大神ゼウス様はポリュデウケースの願いをかなえ二人を天に上げました。


 父テュンダレオースは愛する息子であり、自分の跡継ぎとスパルタ軍を率いる将を同時に失い困り果ててしまいました。


 そこにミケーネ王アガメムノーンの弟であり、私への求婚者の一人であったメネラーオスが兄達の代わりにスパルタを守備を担うと名乗りを上げました。今から思うと、兄達を嵌めたのはメネラーオスだったのではないかと思います。


 メネラーオスはそれまで己の野心を隠し、父テュンダレオースに人の良い人物と見せかけていたため、父はすっかり彼を信じて彼と彼の軍勢をスパルタに引き入れてしまいました。


 エルフの兵士は、主に弓や魔法で戦い近接戦は苦手です。王宮に引き入れられたメネラーオスの軍はいきなりエルフの兵に襲い掛かり、あっと言う間に王宮を占拠し父と母を殺し、メネラーオスは新たなスパルタ王を自称しました。


 そして私は捕らわれ、城の塔に閉じ込められ、メネラーオスの妻の一人になることを要求されました。


 私は両親の仇であるメネラーオスの妻になるのが嫌で、結婚式の衣装合わせの隙に逃げ出しました。途中で馬車を奪って逃げ、追手を巻くことは出来たのですが、生憎馬車を扱ったことが無く、山道で崖下に転落したところを山賊に捕まってしまい危うく奴隷として売られるところでした。


 アプロディーテ様に運命の人と言われたからだけではありません。パリス様は私の恩人でもあります。もしご迷惑でなければ、これからはパリス様にお仕えさせてください。」


 僕の一部がシャツ一枚着ただけのヘレネーのすらっとした生足と美貌に盛り上がっていることに気が付いたアプロディーテが言う。

「あ、そうだ!折角なので、ヘレネーさんも私と一緒にパリスさまに隷属しちゃいませんか?」


「れ、隷属?」と驚き顔を見せるヘレネー。


「ちょ、ちょっと、アプロディーテ、何言いだすんだよ!」と言う僕の声もむなしく二人は話を続ける。


「はい。奴隷契約よりも強力に、そして生涯従属することになります。」


「も、もしかしてアプロディーテ様も?」


「はい。大神ゼウス様の命令で隷属しました。パリスさまは良い方ですよ。いかがでしょうか?」


「は、はい。そもそも一度はパリス様のもとに行くとお約束した身。是非隷属させてください。」なぜか嬉しそうにこたえるヘレネー。


「え?いいの?」


「はい。パリス様に助けられなければどちらにせよ私は奴隷として売られていました。あなたは私の運命の人です。私はあなたに隷属します。」


「では。行きますね。」キラーン♪


「パリスさま、さっそくヘレネーさんのステータスを確認してください。」


「へぇ~。ヘレネーさんは【風魔法】が使えるんだね。」


「あ、はい。私のステータスを見ることが出来るんですね。えっと、私は【風魔法】と言っても軽い風を吹かせることと、かまいたちと言って、相手の脛をちょっと切るくらいしかできないんですけど。」


「じゃぁ、【MP強奪】は使えそうだから渡しておくね。自分のスキル見てみて。」


「え?スキルが増えてる!」とヘレネーは驚いていた。


 ――――――――― ステータス ―――――――――

 名前:ヘレネー 年齢:116歳 種族:エルフ

 ジョブ:魔術師

 スキル:

 ・裁縫 レベル5:裁縫が上手になる。

 ・風魔法 レベル1:MPを消費して風魔法が使える。

 ・薬草知識 レベル4:薬草に詳しくなるパッシブスキル。

 ・MP強奪 レベル1:MPを消費して相手のMPを奪い自分のMPにすることができる。

    レベル1では相手のMPの1割ほど。

 装備:

 なし

 魅了:

 ・アプロディーテ

 隷属:

 ・パリス

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