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酔っ払い冒険者5人組

 朝、目を覚ますと、アプロディーテの顔がそこにあった。そしてアプロディーテが僕にそっと口づけする。


 幸せな朝だ。これからずっとこんな朝を迎えたい。


 アプロディーテが僕の唇から唇をそっと離し、一糸まとわぬ姿でベッドから出る。昨夜は必死でよく観察できなかったアプロディーテの艶めかしい姿が目に入る。


 この時代の美の基準からいうと胸とお尻を除いて全体的に少し細すぎるのかもしれない。でも出るところは出て、締まっているところは締まっているグラビアアイドル真っ青なそのスタイルは、かすかに前世の価値観が残っている僕にとっては理想のスタイルだ。


 そして少し恥ずかしがりながら着替えるアプロディーテの後姿に性欲の高まりを感じる。


「パリスさま、昨夜あんなにしたのに、もう元気なのですね。私なら構いませんよ…」


「いや、やめておくよ。アプロディーテが魅力的過ぎて止まらなくなりそうだからね。」


 頬を赤らめるアプロディーテの姿を見ながら、僕は必死に性欲の高まりを抑え、出立の準備をした。ふ~。がっついてはダメだ。これからもずっと一緒なんだから。僕も大人になったな。ふふふ。


 僕たちは宿の食堂で朝食を食べた後、テッサロニキを旅立った。



「兄貴、本当にやるのか?相手はオークキングを倒したやつらだぜ?」


「バカ野郎!あんな坊主と細腕の女のたった二人でオークキングを倒すなんて、まぐれに決まってるだろう。奴らも言ってたが、暗闇で不意打ちしたんだろ?それにお前たちも見ただろう?あの大容量のアイテムバッグ。あんなレアアイテム、間違いなく高く売れるぜ!あんな小僧にはもったいないだろ?」


「それもそうだな。」


「あの女も、かなりの上玉だぜ。あんな小僧にはもったいだろ。」


「そうだな。歯向かうようなら小僧を殺して、女を犯してやろうぜ。」


「この先の狭路で二人は後ろから、俺ら3人は前から挟み撃ちにする。いいな。」


「わかった。」



 僕たちが山道の狭い谷間を抜けようとしたところで、どこかで見覚えのある3人が前をふさぐ。


「坊主、そのアイテムボックスを俺達によこしな。そうすればここを通してやる。」

 あぁ、昨日の酔っ払いのうちの3人か、残りの二人はどうしたんだろう?と思ったいたら、後ろから二人が現れた。


「パリスさま、あいつら、【剣術】と【剛力】、それから【二日酔い防止】を持ってます。」とアプロディーテが僕に耳打ちする。


「【剛力】持ってるならハンマーとかの方がよさそうなのにね。ほら剣も刃がかけてボロボロになってるよ。」


 【二日酔い防止】はいらない。この世界のお酒はアルコール度数が低い。そもそも前世基準ではお酒を飲んでいい年齢ではない。

 【剛力】も剣を使う分にはいまいちでいらないんだけど、一応、両方【スキル移動】を試みてみたが、いずれも失敗してしまった。



「なに、ごちゃごちゃ言ってやがる。アイテムバッグを渡すのか渡さないのかはっきりしやがれ!」


「このバックでよかったら上げますよ。ほら。」と、僕はアイテムボックスに偽装していたバックを、奴らの前に投げた。


「ほ~う。素直じゃね~か。」と言いつつも、意外と素直に言うことを聞いた僕らを見て、5人は完全に僕たちを舐めてかかった。


「よし!やっちまえ!女には傷をつけるな。奴隷として売り払うのに値が下がるからな。」


「兄貴!売り払っちまう前に、その女で楽しませてくれよ。」


「もちろんだぜ。俺達が楽しんだ後、売っぱらってやる。」


 5人は、一斉に僕に襲い掛かかった。


 しかし5人が近寄る前に、アプロディーテの鞭がうなり5人の武器を次々と叩き落しす。そして僕は【縮地】で兄貴と呼ばれていたリーダーと思わしき男の間合いを詰めて首に剣を当てる。


「え?いつの間に!?ちょ、ちょっと待て。す、済まなかった。助けてくれ。」


「僕を殺そうとした以上、殺される覚悟も出来てたんですよね?」


「じょ、冗談なんだ。」「出来心で…。」「た、助けてくれ。」「俺は反対したんだ。」「嘘つけ!お前だけ助かろうだなんて許さね~ぞ!」


「どうしようか?アプロディーテ。」


「そうですね。ロープで縛って、引き返してテッサロニキの冒険者ギルドに差し出しましょう。」


「ちょっとまて、それだけは勘弁してくれ。犯罪奴隷にされちまう。金ならほら。」と、兄貴と呼ばれてた男が数枚の銀貨と銅貨を差し出す。


「はした金ですね。」とアプロディーテは僕の無限収納からロープを受け取り、5人を縛り上げていく。


「冒険者ギルドに差し出すのだけは勘弁してくれ。」「頼む。」「許してくれ。」


「【絶倫】もこいつらに渡しちゃおうか?」と僕はアプロディーテに言ってみるが、

「それはダメです。こんなやつらに渡したら、罪もない女性が襲われてしまいます。」と言われてしまった。



 僕たちは、ロープで縛った5人を引き連れてテッサロニキまで引き返し、冒険者ギルドに引き渡した。


「こいつらどうなりますか?」


「冒険者ギルドの顔に泥を塗った犯罪を犯したわけですから犯罪奴隷になると思いす。おそらく鉱山送りか船底に閉じ込められて一生船を漕ぐことになるでしょう。」


「パリスさま。彼らの自業自得です。神罰ならもっと重い罪になります。この程度で済んだことを感謝してほしいくらいです。」

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