十七、
十七、
カンテラの静寂に結晶コバルトを射出。禁断の細工地味た栄華を愁い、翌朝のケルトに身を包む。青色の矮星が筆者を愚弄する笑みを浮かべれば、ああ彼こそが私を生み出したのだと悟った。
いや...、それとも私が彼を生み出したのか。
「眠い...。」
衝撃の強いフルート奏者との邂逅が原因で寝不足の頭を抱えつつ、私はよくある妄想の一端に耽ったのだった。
境界を殺伐とする真性さを騎士とするならば、ナザレに堕ちた神とは邪推なものか。それは、荒廃した大学院も、さも同じ顔をする有限性と同じことである。ガラパゴスの哀願は聞き飽きた発車ベルとなり、文明開化と騒いでいるという近年の東洋が似た風潮を持っている。私は機微を拒むファンタジーの世界に生きる訳だが、ふとそこまで考えて、昨日の彼とした問答に自分がどれほど影響されたかを感じ入った。
不和した一酸化炭素水に、かき混ぜた小瓶の中の海。Kirakiraした粉砂糖を、七つ星に置き換えて、振り撒く妖精貴族。希釈という、その意味さえ分からず化学反応式を並べた、白黒映画の醍醐味ばかりが、私の感性である。そこに、世俗的なものは含まれず、精々童話といった小説的少女だけが私に含まれる一種であったはずだが...。
「早く夜になればいいのに...。」
楽団に所属しているという彼は、今夜の舞踏会には出るのだろうか?船酔いも、まだ収まりきっていないようだったし。けれど、あのフルート吹きと、もう一度会って話をしたいという気持ちは抑えきれず、朝焼けに染まり出す部屋のベッドに寝転がる私は、枕に顔を埋めて足をバタバタとさせていた。これ程までに、会話が合うと感じたことがあっただろうか?あの貴婦人だって、お茶会で語る言葉は美しいながらも単調でしかない。それが、澱みなく紡がれ、私の意図を捉えた瞬間の心地良さ。今まで抱えていた不安が、すっと消え去る感覚に、私は朝露に濡れて輝く素敵な部屋を眺めた。
「本当に、早く夜が来れば...。」
今度は、どんな会話ができる?不思議さと聡明さから時が離れ、彼を噛み砕く現象は何と素晴らしいものなのだろう。
「彼に、知ってもらいたいな...。私の絵本を。」
この世界の全てを。そう思いながら微睡む、その先には水平線が語る舷縁。陽光にかざす手の平に反射した、朝の静けさが私を二度寝へと誘ったのだった。
なんか、少女ちゃんが恋する乙女みたいになってきちゃったな。枕に顔を埋めて、足バタバタとか可愛いかよw
でも、それほどフルート奏者との出会いは、彼女にとって刺激的だったのでしょう。まるで、彼女の全てを見透かしている様な、人物ですからね。
次は、夜会での二人かな?婚約者さんも、出てくるけれど...一体、どうなることやら。
お楽しみに!