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花橘ノスタルジア5
まだまだ序盤です
「おや、また遭遇したのかい?」
色々と頭の中に思い浮かべていた寿々は一気に現実に引き戻された。
「逢魔時と云う時間帯だからね、気をつけないと」
寿々の目の前ににこりと笑う男性が現れた。
「教授のところに行ったらまだ君は来ていないと、時間が時間だし場所も場所だから気になって見にきたんだよ、」
寿々の前の笑顔の男性は、はきはきと言葉を発する。
量の多い髪を後ろで束ねている癖毛は僅かに流れる風に揺れた。
(炎みたい)
初めて会った時も寿々は思った。
ゆらゆらと揺れる小さな火のような、炎のような。
何だかわからないけどそう思ったのだ。
「すみません、暁月先生」
「御坂寿々くん」
寿々に呼ばれた男性、暁月は更に笑顔になった。
その笑顔に寿々は強く意識してしまった。
顔から火が出る、そのもので。
「顔が夕日に照らされてからかな?赤い」
「何でもないです!」
顔は火が出るというか湯気が出るというか。
その理由は数日前に遡る。
ありがとうございました