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第五話 悪鬼の饗宴

異世界生活 3日目


この世界に来てもう三日目の朝だ。

久しぶりに

柔らかなベッドで眠りにつく事が出来た。

爽やかな朝だ。


今日から僕はリリアの手伝いをしながら、

馬の乗り方などを教えてもらおうと思う。

そして街への旅を計画しよう。



リリア

「おはよう、ヘクトール!

昨日はよく眠れた?」


「おかげでよく眠れたよ!

2日も野宿だったから本当に助かった!」


リリア

「それなら良かったわ!

私はこれから少し畑仕事に行くから

旅の準備があるなら行ってきたら?」


「うん。そうするよ!

そういえばオルレードか、

クレモンテって場所を知ってるかい?」


リリア

「オルレードは聞いた事がないわ。

でもクレモンテは最寄りの街よ!

馬で10日かかるって話した、

北東の街がクレモンテよ!」


「そうなんだ!

そこでギルドに

加入していたみたいだから、よかった!

やっぱり準備ができたら

そこを目指すことにするよ!」


リリア

「そこなら人のいききが多いから

色々な情報が手に入るんじゃないかしら。」


「そうなんだね!

あと、移動のために僕は、

馬に乗る練習もしたいんだけど

馬はどこかで借りられるのかな?」


リリア

「村長が馬を持ってて、詳しいから

教えてもらうのがいいと思うわ!」


「わかったよ!本当にありがとうリリア!

少し話をしたら、畑仕事を手伝いに行くね!」


リリア

「そんな事気にしなくていいのに!

でもありがたいわ!」


「じゃあ、また後ほど!」



その後、村長に話をして、

10日ほど、馬の練習を

させてもらうことになった。


馬を、金貨2枚で

ゆずってもらう話しもできた。

かなりの破格らしい。


そのあとは畑仕事を手伝った。

キャベツ、ニンジン、

タマネギ、ニンニク、カブなど

この世界には、元の世界と

わりと同じ野菜が、取れる事がわかった。



そして

大きな小麦ばたけに

水やりが必要かと聞いたら

リリアに笑われてしまった。


雨だけで小麦が育つ、と言うことを

僕は異世界で初めて知った。






異世界生活 4日目


今日、初めて馬に乗った。

これまで馬に乗った事がないと言うと、

村長さんに笑われた。


車の様な存在と考えれば

たしかにおかしく感じるかもしれない。


乗り方、進ませ方、止まり方を教わり、

村長さんの娘の名を冠する

ビーネと言う馬と仲良くなった。


この分なら、10日もたたずに

馬に乗れる様になりそうだ。



その後は畑仕事を手伝う。

ズッキーニや、香草の様なものを収穫させてもらった。

自給自足をするという大変さを

身を持って感じる事が出来た。


子育てをしながら、

こんな重労働をしているリリアは

本当に強い女性だと感じる。


手伝いをしているより、教わる事が多いので、

なんだか申し訳なくなる。


この日は疲れたので早く寝る事にした。





異世界生活 5日目



「ふぁーぁ!よく眠れた。」


この村で生活を始めて

3日目。


異世界の朝は早い。

太陽の動きに合わせて

みんなが生活している。


夜更かしなんて

誰もしていないんじゃないかと思う。


「さて、今日も馬の練習と

リリアの畑仕事を頑張るぞー!」


今日も村長と、馬の練習をした。

購入予定のオスの馬

オーブリスに乗せてもらった。


相性がいいと言われて

嬉しかったのを覚えている。

もう、馬はひととおり、こなせる様になった。

後は、体に染み込ませていく作業だ。


馬の練習をした後、

リリアと

バルバビエトラとチコリ、という

野菜の種まきをした。

初めて聞く野菜だったので

成長がすごく楽しみだ。






異世界生活、6日目



それは夜明け直前のことだった。


ーカンカンカン!


「何だ、外から、

けたたましい鐘の音がする。」


ーゴトン


「下の階からも、物音がする。」


火事だろうか。

リリアも、火消しの為に

準備しているのだろうか。


急いでブーツを履き、

階段を降りていく。


一階には子供と、

リリアが寝ている部屋がある。

もう火消しの為に、出て行ったのだろうか?


玄関のドアをあけ、外の様子を伺ってみる。



「く!!!

これは。。。」


外は火に包まれているが、

殆どの家が燃えている!

これは火事なんかじゃない!


まるで、

一斉に火矢でも浴びせかけられた様な

そんな燃え方をしている。


「これはまずいかもしれない!

剣を取りに行かなきゃ!」


部屋に戻り、剣を手にした後、

慌てて、子供達の部屋へ向かう。


階段を駆けおり、子供部屋の

ドアを開ける。


「っ!!!」


むせかえるような血の匂いが

僕の意識をにぶらせる。


部屋には、子供二人が

無残に刃物で滅多刺しにされていた。



かわいらしい大きな瞳は

宙をみつめたまま写真の様に

静止している。


「そんな、何で。。。」


慌てて駆け寄り脈を取る。



「ダメか。。。

誰がこんなことを!」


柔らかく暖かかった可愛い手は

ぞっとするほど冷たかった。

この小さな手には

様々な可能性や夢を掴むことが

できたのにと考えると目が熱くなる。




突然のことで

状況が受け入れられない。

さっきまで元気だった

あの子達が

どうしてこんな目に



僕は子どもたちの開いたままの目を

閉じさせるとあたりを見回す



「リリア…

リリアはどこだ!」


あたりを見回すが

リリアの姿が見えない。


「盗賊が女を狩りにきたのか!?」


よもや、と

嫌な想像が頭をよぎり、

急いで外に出る。


村のあちこちには村人が倒れている。


「うわぁ!やめろー!」

家の裏から男の悲鳴が聞こえた。


剣を抜き、

恐る恐る

その

悲鳴の方へと歩く。


そこには

男に馬乗りになる

子供の様な、後ろ姿があった。


手には、棒と骨で作られた

小さなてやりを持ち、

男の腹へ、何度も突き立てている。



「おい、お前、やめろ!!」


僕は夢中で、

子供の様な後ろ姿をした、

何かに斬りつけた。


「き、斬れない!やばい!」


細身で軽いレイピアの刃は

肩をけさぎりにしたが

仕留め切れるような傷を

負わせられなかった。


苦痛に顔を歪めながら

振り返った、子供の様な化け物は

まさに、ゴブリン

と言うのに相応しい

小さな

鬼の顔をした

化け物だった。



「ギギギギギギ」

ゴブリンは、何かを叫び

槍を構えて

こちらへと向かってくる!


「死ねよ!こいつ!」


僕は剣を構えると

ゴブリンの胸めがけて

突き出した。


見事に、胸のど真ん中を

レイピアは貫通した。


だが、赤い血を吐きながら

それでも向かってくる、

ゴブリンの勢いに押され

尻餅をつくと

ゴブリンの槍が迫ってくる。


僕は慌てて

ゴブリンの右手を掴み、

押し返す。


左目の前まで、槍が迫ったが

力は思ったほど強くなく、

しばらく腕を掴んで格闘していると

徐々に、ゴブリンの動きはにぶくなり、

よだれとも、

血ともわからない粘液を

口から垂らしながら

白目を向いて

動かなくなった。


「はぁ。はぁ。はぁ。」


ゴブリンが力尽きた時には

僕は

満身創痍といった状態だった。


「倒した!倒したぞ!」


覆いかぶさってきた、ゴブリンの死体を

どかしながら、立ち上がる。


燃え盛る村の中で

不気味に、村は静まり返っていた。


悲鳴をあげるものは

いない。



「他にもゴブリンはいるのか?」


念の為、剣を構えながら

生きている人を探して

村を歩く。


通りには男の死体が

ところどころに

倒れている。



剣や、くわを握りしめ、

戦っていたみたいだ。

生きている人は

居ないのだろうか。



村の反対の入り口へと向かってみる。


頑丈な門は開け放たれている。


その横には門を

あけにきたであろう村人が

弓で射られて倒れている。


門を開けた瞬間に

弓で射られ

そのまま沢山のゴブリンが

入り込んできたのだろうか。


「ギギギギギギ」

「ギギギギギギ」


後ろから

ゴブリンの鳴き声らしき、声がする。


「まだ村に沢山のゴブリンがいる!」


そしてその声は

こちらに向かって来ているようだ。


「やばい、あれが何匹も来られたら

殺される!!!」


僕は、急いで村からでて

近くの茂みに

身を隠したのだった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


いかがだったでしょうか?


もし面白そうだなと感じていただけたら


ぜひブックマーク、評価ボタン、

感想などいただけましたら嬉しいです。


ぜひよろしくお願いいたします。

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