第三話 夢と現実の狭間で
「いや、待って、異世界転生って
普通王様に呼び出されて
チート能力持ってるんじゃないの?
こんな普通のまま放り出されるわけ?
それとも夢なのか?これは。」
男は文句を言いながら
顔を洗おうと勝手に
脇にある井戸から水を汲んだ。
顔を洗おうと桶を覗くと
月明かりに照らされた
見知らぬ顔が照らし出された。
「え、金髪?
俺の顔が。。。
外人になってる。。。
でもまぁ、ここが異世界だとすれば、
日本人の顔じゃなくてよかったのかもな。」
顔を洗うと冷たい水が心地いい。
「やっぱり、夢ではない、か。」
またベンチに腰掛け直し、
頭を整理してみる。
「ここは異世界で、俺は一人。
知ってる人もいなければ
知ってる場所もない、のかな…」
男は唯一元の世界から持ってこれた
スマホを取り出した。
「これがあるって事は
完全に別世界でもないってことか?」
このスマホだけが元の世界と今の自分を
繋いでくれてる様な気がしていた。
「あー、やばいな。
子供達残してこんなとこに来ちゃって。
子供も嫁も、大丈夫かなぁ。
そもそも帰れるのか。
このままこの世界から帰れないなんてことになったら
あいつらどうなっちゃうんだよ。
そもそも俺もどうしたらいいんだよ。」
男は残り少ないスマホの電池で
家族との動画を見ながら
受け入れ難い現実に
涙を流していた。
スマホの画面からは
ただただ幸せそうな
家族の動画が滲みながら
流れては消えていった。
そしてスマホの電源は
そこで途絶えた。
「絶対戻ってみせる。」
男は涙を拭くと強く決意した。
この男の異世界での
長く険しい冒険はここから
始まったのである。
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