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第二話 「迷い込んだ男」


「あちー。」


男は忙しない蝉の鳴き声と

蒸し暑い空気で目覚めた。

左手にはスマホを握りしめている。



「いつのまにか寝ちゃってたな。」


眠い目をこすりながら

体を起こすと男は大声をあげた。



「なんだこりゃぁあ!!!」


男が寝ていたのは見知らぬ森の地面だった。


「あれ、昨日ふつうに

布団に入って寝たはず。

なんでこんな森で寝てるんだ?」


左手のスマホを見る

スマホは圏外になっている。

日付はまさに

今日の日付が表示されている。


「圏外って。。。

いくら森でも圏外になんかならないでしょ。

普通に寝てただけで

なんで圏外になる様な

遠くの森にいるんだよ。」


自分の置かれている状況を考えようと

立ち上がった。


「重っ!!!何これ、は!?」


男は立ち上がると足元の違和感に気付いた。


足には銀に輝く中世の様な脛当てが

つけられていた。


「すごい、なんだこれ、ナイトみたい。

なんかのドッキリか?」


「ダメだ、全然理解が追いつかない。

とりあえず喉が乾いたな。」


男は体を見る、腰のベルトには

水が入っているらしい

皮袋が吊るされている。


「これって飲んでいいやつかな?」


皮袋を塞いでいるコルクの栓を

抜き一口飲んでみる。


「うわぁ。水だけど、

ぬるいし、なんか変な革の味がする。」


悪態をつきながら

辺りを見回してみるが

木々だけが視界を埋め尽くしている。


「状況はよくわからないけど、

暗くなる前にどっか人のいるとこまで

行かないとやばいかもな。

とりあえず、これでやってみるか」


男は近くにあった枝を広い、

真っ直ぐに立て、指を離した。


すると一陣の風が吹き抜け、

枝が倒れそうだった方向とは

逆方向に倒れた。


「なんか、すごいタイミングの

風だったけど、まぁいいか。

とりあえずこっちに行ってみよう。」


男は枝の倒れた方向へ

歩みを進めた。




「もう何時間か歩いてるよな。

今何時だ?

。。。うわ、もう3時間も歩いてる」


空を見ると日が暮れ初めていた。



「やばいやばいやばい!

森で夜になるなんてやばいよ!」


男は迫る夕闇に焦りを感じ、

さらに歩みを進める。




ーザザ、ザザ


「うわ、動物の足音だ。こんなところで

熊にでも襲われたらやばい。」


慌てて腰に手を伸ばす。

男の腰にはシンプルな装飾の細剣が

差してある。


「これ、レプリカかな。

うわっ、意外とおもい。。。

あれ、でも刃がある」


赤い握りに黒く艶消しが施された刀身の

無骨なレイピアには

確かに刃が付いている。

鋭い刀身はかなり使い込んだ跡がある。


「最悪の時にはこれ、使えそうだな。」


剣が腰にある事を確認すると、

また歩みを進める。


「あれは!煙!!!」


男は森のすぐ向こうに

煙が上がっているのを見つけると、

一目散に駆け出した。


既に空は紫と赤紫のグラデーションが浮かび、

星が見え始めている。




煙の元に到着したのは

十分ほど走ってからだった。

丸太を打ち込んだ様な柵に囲まれた

小さな集落だった。


「うわー、なんか山小屋みたいな

家ばっかりだな。

スマホもまだ圏外だしなぁ。

とりあえず迷った事を伝えて

現在地だけでも聞いてみるか。」


男は開け放たれている

木造の頑丈そうな門を抜け、

近くにある家をノックした。


「すいませーん!道に迷ってしまって

少しだけお話させてくださーい!

すいませーん!」


やがてドアが開き現れたのは

金髪の外国人だった。




金髪の外国人の女

「なんですか、こんな時間に?」


「すいません、道に迷ってしまって、

今この辺ってどこなんでしょうか?」


金髪の外国人の女

「ここはフォルソリ村よ。」


「フォルソリ。。。っていうと何県ですか?」


金髪の外国人の女

「ナニケン?よくわからないけど、

ここはヘブニウム大陸の東、

パレストラ王国領のフォルソリ村だよ。」



「あ、そうなんですね!

ありがとうございます!助かりました!」



男は女に礼を言って足早にその場を離れた。

村の広場の様な場所には

ベンチがいくつか並べられていた。


「なんか、全然違う気がするんだよな、根本的に。

海外に来てるってレベルじゃないような…」


男は考えを整理させようと

ベンチに腰掛け空を仰ぐ。


「はぁ…困ったなぁ…

あ、あれは…!」


目を丸くした男は

またも大声で叫んだ。


「これ!やばいって!

漫画で読んだみたいなこの流れ!

もしかしてこれ、異世界転生!?」





空には眩く光る見知らぬ星座と、

青と緑に輝く二つの月が浮かんでいた。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


いかがだったでしょうか?


もし面白そうだなと感じていただけたら


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