パソコンは余ったパーツから生えてくる
「ふっふふーん……」
私は今日の日記を書いている、上機嫌なのは使う道具が新しくなったからです!
そう! 第7世代CoreからZen2アーキテクチャに移行し、CPUが変わったのでもちろんマザーボードやいろんなものが余ってしまいました。さて、この中途半端なPCになりかけの道具をどうしましょうか? メルカリで売り払うと言うのも一つの手ですが……
決めた! もう一台組もう!
自作erにとってはPCのパーツが余っているということは新しく組むチャンスというわけですね、ついでに組んだ方はお兄ちゃんにあげましょう。
キーボードは青軸が余ってますし、CPUとマザーボードがあればその辺に余っているメモリとストレージを付けてグラフィックはオンボードで問題ないですね、ちゃちゃっと組みますか。
ストレージがその辺に余っているという時点でアレな人間であることは分かっています……普通の人はPCをばらさないらしいですね? それどころかデスクトップPCすら絶滅しそうとか。
「便利なんですけどねぇ……」
何かの本に「靴を履いたことのない人に靴を売る方法」みたいなのがありましたが、デスクトップPCでもできないでしょうか?
などと夢物語を語ってもしょうがないですね、さっさと組んでしまいましょう。
とりあえずベニヤ板の上にパーツ一式を置いてマザーの電源ピンをショートさせます。UEFIの画面が表示されました。
素組みでは問題ないですね、組み付けましょう。
私はテキパキと無骨なケースにパーツを放り込みます。多少旧式ですが実用上十分でしょう。
さて……OSのことを考えていませんでした。
そうです、組み上がって起動させたときに無慈悲な『Operating System Not Found』を見て困っています。
Windowsのライセンス高いんですよね……
主要OSが明確なサポート期限無しであの値段なら確かに安いのですが、あまりの一台に割り当てるほどライセンスをポンポン買えるわけでもないですしね。
選択肢
1.Windowsを買う
2.Linuxをインストールする
3.*BSDをインストールする
4.このPCを見なかったことにする
4はちょっともったいないですね、1は予算が……
となると2か3なのですが、BSDはちょっと慣れが必要ですね、無難にUbuntuLinux辺りを選択するのが無難でしょうか……このスペックなら十分動きますしね。
そんなわけでブータブルUSBを作成しました、余り物なので光学ドライブなどという贅沢品はついていないのです。
「いやー誰でも使えるのを標榜しているだけはありますね」
超お手軽にインストールが進んでいきました。
インストールがサクサクと終わったのでお兄ちゃんのところへ持っていこうとしてふと考えました。
sshdを入れておくと良いのでは?
sshd、要するに遠隔操作用のプログラムです。
上手くいけばお兄ちゃんの秘密が……ふへへ……
私の邪な欲望を乗せたPCはコレで完成です。
安直ですって? 王道と言って欲しいですね。
うんしょ、うんしょっと……
結構重いですねコイツ、動かさないからすっかり忘れてました。フルタワーじゃないのがせめてもの救いですね。
ようやくお兄ちゃんの部屋の前まで運んできてお兄ちゃんに呼びかけます。
「お兄ちゃん! いいモノを持ってきました!」
「えぇ……」
お兄ちゃんの反応が薄いです、私がどれだけ苦労したと……いやしてないですね。
なんにせよ、もうちょっと喜んで欲しいんですけどね。
「お兄ちゃん! もっと喜んでくださいよ! 新型ですよ?」
「三世代くらい前のCPUのステッカーが貼ってあるんだが……?」
チッ、細かいところを気にしますね……いいじゃないですか、お兄ちゃんの現在のマシンは五世代前ですよ。
「とにかく! お兄ちゃん用に組んだモノなのでちゃんと使ってくださいね?」
「怪しいモノはいってそう……」
「ゼンゼンアヤシクナイヨ?」
「怪しい……」
お兄ちゃんはこんなところの勘がよくてもしょうがないんですよ? 私の好意には気づかなかったくせに……
「と、とにかく! お兄ちゃんのメインPCは今日からコレですからね!」
「有無を言わさずか……まあ新しくなるのは良いけどさ」
「じゃ、とりあえず使って貰えますか?」
sudo systemctl disable sshd
「お兄ちゃん! いきなり何をやってるんですか!?」
「だって……予想がつくし、その反応が何よりの証拠だろ?」
お兄ちゃん……私を信用してくれないのでしょうか……図星だけに文句も言えないのですが……
そしてお兄ちゃんの部屋にPCを持っていった夜、cronでscpコマンドが私の部屋のサブPCにホームディレクトリが定期的にクローンするのを見てから、お兄ちゃんも詰めが甘いなあ……と思いました。
 




