表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/111

SOUGOフォローの謎

「お兄ちゃん、私のアカウントをフォローしてくれませんか?」

 私はお兄ちゃんに『お願い』をする、まあ拒否権はないのですけど……

「えー……」

 もちろん、私の目的はお兄ちゃんの保有しているアカウントを全部掌握することです。

 へへへ……お兄ちゃんのSNSアカウントによっては結婚報告の機能すらあるんですよね……ふへへ……

 おっといけません、ついつい欲望が出てしまいました、私の目的はお兄ちゃんの健全なネット利用、決して情報操作を目的としたものではないですよ?

 そう、お兄ちゃんのアカウントが分かればそこから芋づる式にお兄ちゃんに関係しているアカウントが把握できます、太平の人は裏アカもどこかで表用と繋がっているものです、つまりはお兄ちゃんを生かすも殺すも私次第……

「なんか不穏な気がするから断っていい?」

「ダメです」

 私はにこやかにお兄ちゃんの申し出をお断りします、あれ? もしかして私にやましい書き込みでしてるんでしょうか?

「はいはい、それじゃつぶやき用と、転職用、あとリア充向けのアレも教えてくださいね」


「なんで知ってんの!? 普通に怖いんだけど……というかそこまで分かってるなら教える必要すらないだろ?」

 お兄ちゃんは考えが甘いですね……

「私が知っているのは、お兄ちゃんのスマホがどこにアクセスしたかだけですよ? 別に中間者攻撃とかもしてないですからアカウントの詳細は知りませんよ」

 私がそう言うと、お兄ちゃんはほっと安堵しています。むむむ、コレは怪しいと言っていいんじゃないでしょうか?

 しかし、あくまで『自主的に』アカウントを教えて欲しいので私も強くは出ません、強権を発動させるのは最後の手段です。

「そもそもフォローしてどうする気だよ? 別に当たり障りの無いことしか書いてないぞ?」

「それは私が判断することです」

 お兄ちゃんがもしかしたら欲望にまみれた妄想を書いているかもしれないじゃないですか! お兄ちゃんの情報は全て知っておかなければなりません。

「独裁者だなあ……」

「コンピュータ界隈なんで多かれ少なかれ独裁で発展してるんですよ? コミュニティ主導のアレより、トップが(ピー)を口癖にしているあっちの方が強いじゃないですか?」


「今はあの人も大分おとなしいけどな……」

「それはさておき、アカウントを早く早く、気になるじゃないですか!」

 お兄ちゃんは心底困った顔で私を見てからスマホの画面を差し出しました。

「コレがメイン垢だよ……あんまり過去の書き込み掘るのはやめてくれよ……」

「もちろんじゃないですか!」

 ここでの『もちろん』は過去の全てをさかのぼるに決まっているという意味です。

 お兄ちゃんの自由? それは妹の愛よりずっと軽いものなのです。

「じゃあフォローしておきますね、私のアカウントもちゃんとフォローしておいてくださいね!」


 そうしてお兄ちゃんが渋々教えてくれたアカウントの過去ログを夕食後早速漁っていると不自然なものを見かけました。

『お読みいただきありがとうございました』

 これ自体はただの書き込みなのですが……なんに関してなのか一切分からないのです……感謝しているということは『何か』を読んだ人に対してのはずなのですが……

 お兄ちゃんのアカウント名で検索をかけたところある書き込みがヒットしました。

『よかったです! シスコンにはドストライクです!』


 この書き込みがお兄ちゃんに対してメンションとして送られています……果たしてこの方が『読んだ』ものはなんだったのでしょうか? それは結局不明のまま私が見つけることはかないませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ