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私のプロジェクト※PC編終了、次回からスマホに舞台が変わります

「ムカつきますね……」

 私はwindowsのプログラムのソースを眺めながら悪態をつきます。

 原因はwindowsのファイルの扱いです。先日のプログラムは特定環境下でバグが出ました。結局のところファイルをバイナリで開かないとエラーが出るようです、Linuxではバイナリとテキストの区別がないのですっかり忘れていました。

「WSLで動かすとちゃんと動くのが、また腹立たしいです……」

 LinuxでもwindowsでもCで書いたコードなら動けばいいのに……Cの思想は環境が変わってもコードは統一されているってところでしょうに……

『ポータブル』という幻想にイライラする、こんな事になるなら始めから別の言語にすればいいのに。

 可搬性と知った風なことを書いておきながら実装でカバーしないといけないなんて理想倒れもいいところですね。トンプソンとリッチーの理想を偲びながら私は行き場のない怒りを抱えます。

 この愚痴を誰かに聞いて欲しい、でもきっとお兄ちゃんなら『そんなことも知らないのか』と思うだろう。お兄ちゃんに軽んじられるのは我慢がなりません。

 だからJavaが三十億のデバイスで走ったりするのです、これは他言語の怠慢が生んだ事態でしょうね。

 別にJavaが特別嫌いというわけでもないのですが……ただeclipseも無い時代にメモ帳で書いたのがすこーしだけトラウマになっているだけです。

 昔のトラウマを頭から消してさっさとコードを書く、もうUNIXの理想などゴミ箱に捨てたかのような冒涜的なコードです。stdinとstdoutの扱いすら違うってOSの実装者に文句の一つも言いたくなります。

 素直にPowershellを捨ててbashで全部片付けるというのがたった一つの冴えたやり方な気もしますがね。

 Windowsの取り柄であるワープロさえ他のOSで使えればポイッと捨てるのに……ATOKと一太郎に肩まで浸かっていると別のOSへの以降が大変なんですよねえ……

 それはさておき

 コレはお兄ちゃんに相談案件ですかね……

 私は現在Windowsterminalでシェルを動かして遊んでいる、残念なことにEmacsは入っていない、入れればいいんですけど最近読んだ本にVimが全てと書いてあったのでVimで全部すませるつもりです。

 ところでEmacsとVimを初見で終了させられる人はいるのでしょうか? 私は初めて触ったLinuxでvimを開いたときは終了させるのに苦労したものですが……

 まあvimのEsc押してから:wqはEmacsのC-xC-cほどわかりにくくはないですが……あっちは初見ではほぼ無理ですからね。

 お兄ちゃんにOSS※へのコミット方法について相談したいのですが……笑われないでしょうか?

 ※オープンソースソフトウェア、誰でも開発に参加できる

 私程度の技術力でどれほど貢献ができるのかは分かりませんが、クレジットに名を残したいですねえ……

 タンタン

 階段を下りながら、お兄ちゃんにどう切り出すか悩みます。笑われない相談、友達の話ってことにしましょうか? いやOSSに関わる高校生ってそんなにいるんでしょうか?


 カチャリ

 ドアをそっと開けてお兄ちゃんの居場所を確かめます、妹としては意表を突いたアプローチは欠かせませんからね。

「なにやってんだ?」

 ドアの横にいたお兄ちゃんに話しかけられビクッとします、なんで私が来るって分かったんでしょうか?

「珍しくゆっくり来たな、毎回ドタバタ来るからこっちの用意ができてないことの方が多いというのに」

 そうですか、説明台詞ですね……いやまあ毎回意表を突くのは無理ですよね……

「実はですね……」


 お兄ちゃんに私の希望を申告した、私だって世間に認めて欲しいんです、githubでマージされたいじゃないですか?

 お兄ちゃんはしばらく聞いた後でPCに向かって何か操作をした後、プリンタがガーと動き出した。

「このプロジェクト、フォーク※しといて」

※派製品を出すこと、OSSでは基本的に自由、支持が得られるとは限りません

「なんですかこのQRコード?」

 お兄ちゃんが渡してきたのは一枚のQRコードの印刷された紙だった。

 私がどうすればいいのかと悩んでいると、お兄ちゃんは言いました。

「MITライセンスだからフォーク自由だし、好きに開発していいぞ」

「でも本家に勝てるとは……」

「もうディスコンされたプロジェクトだからな」

 ディスコン、ディスコンティニュー……要するに放棄されたプロジェクトということですね。

「実はユーザが意外といてな……誰かに続けて欲しいんだ」

「え!? もしかしておに……」

 皆まで言うなと私に指をさしだします、そうですか……誰かが続けるプロジェクト……きっとコレはお兄ちゃんの……

「分かりました! 遺志を継いで繁栄させちゃいましょう!」

「死んでないからね!?」

 私はそれを聞いてさっさと自室のPCにQRコードのURLを読み込ませるのでした。

 これは私のプロジェクト……ライフワークの始まりですね……ふふ……

 私は深夜にgitのプロジェクトをクローンしながら微笑むのでした。

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