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サイバー戦争

「すーはーすーはー……いやあ一日一回はこれをやらないと安心できませんね」


 現在元兄の部屋だった場所、妹は深呼吸していた。

 どこからどう見ても変態さんであるが、それを見た人がいなければ問題ない。


「この部屋でお兄ちゃんは暮らしてたわけですねぇ……うーん、そそる!」


 ぼすん……クンカクンカ……


「んー、これをやると生き返ります」


 兄の使用していたベッドに飛び込んで匂いを嗅ぐ、完璧な変態であるが以下略――


「さて、茶番はこのくらいにして厄介ごとを片付けますか……」


 妹は兄のノートPCを開いて考える。

 パスワード……パスワード……


「まったくもう……bitlockerなんて面倒な物を使ってますね……」


 兄のPCのセキュリティは堅牢だった、professionalバージョンにbitlockerでドライブの暗号化がされている、デバイスまるごとの暗号化なので他のPCにストレージを移植したり、LiveOSをブートしての情報ぶっこ抜きが出来ない。


「ふむ……、『imo-to』はアウト……『sister』も違う……」


 妹はそれっぽいパスワードを片っ端から試していた、人力辞書攻撃だ。

 辞書が偏っている気がするのは攻撃者の嗜好による物だった。


 手に持っているポメラに入っているリストに違ったパスワードを記録していく。

 スマホでもいいだが残念以前、機種変時にデータを飛ばした経験がトラウマになっている。


「お兄ちゃんに関係した単語は大体入れましたしねえ……後は単語ではない可能性もありますね……」


 パスワードならば辞書型攻撃は簡単だがパスフレーズを使われていると少し面倒だ。

「さすがに拷問は趣味じゃないですし……お願いじゃ答えてくれないでしょうね……」


 趣味じゃないという理由で拷問は却下されたが、別に手段を選ばない必要がないからしないだけであって、もしお兄ちゃんに彼女がいたりしたら強硬手段に出ることもいとわない。


「お兄ちゃんもあの年なら多少の恥ずかしい趣味くらい私は見逃すっていうのに……」


 妹を長年やってきているので今更多少趣味が偏っていようと構わない、むしろ寄せていきたいので情報が欲しい……


「お兄ちゃんの趣味……ぐへへ……気になります!」


 お兄ちゃんが妹趣味だったら……最高ですね!


 しかし……パスワードですか……多分この調子だとパスワードマネージャに頼ってますね。

 となると、スマホの指紋ロックが解除できれば開けますね。


 単純だけれどもとても困った相手になる、スマホのロック解除となるとチャンスは十回、外せばデータが消える。

 指紋ロックならばお兄ちゃんの手を多少無理してタッチさせればいいんですが……緊急ロックを許したのは失態です……

 そう、お兄ちゃんは寝る前にスマホの緊急ロックをかけていた、おかげで生体認証が無効化されたスマホしかない、惜しいことをしましたね。


 しょうがない、気長にお兄ちゃんのメンタルとパスワードの長さが弱いことに期待をしましょう……前者の方が攻略は楽そうですが……


「くぅ……お兄ちゃん……ダメですよ、恥ずかし……うん……」


 悩ましげにうめきながら妹は兄のベッドで眠りについた。

 一方兄はそんなことは露知らず、部屋のロック解除キーを総当たりしているのだった……


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