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V活! 始めました!

「そうだ、VTuberになろう」

 私は京都に行こうみたいなノリで思いついたことを口にしました。


 一応お兄ちゃんの部屋から私の部屋まではLANで通してますからね、モデリングさえできればWEBm形式で配信ができます、最近は流行らしいですし乗っときましょう。


 早速私はBlenderでモデル作りに励みます。私は『パソコンに強い妹』なのでこの程度余裕です……といいたいところですが……さすがにすぐには無理ですね。


 私はマウスをクルクルしながら考えます。

 お兄ちゃん好みのモデリングにしましょうか、それとも私そのままのモデリングとどっちが良いでしょうか?

 結局のところお兄ちゃんに喜んで欲しいだけなのですが、まあ好みは気になりますね。

 あ! そうだ! とりあえず私のモデルにしておいてお兄ちゃんに変更点を聞けば、今の私とお兄ちゃんの理想の私を聞き出せますね。

 方針は決まりました、あとはモデリングですが……難しいですね。CADとはまた違った操作性です。

 ぐぬぬ……とブレンダーと四苦八苦しているところで夕食の時間になったのでお兄ちゃんのところに行きます、丁度いいのでプロトタイプのデザインの参考を聞きましょう。

 スタスタと階段を下りながらお兄ちゃんの好みについて考えます。妹の王道を行くツインテールなどどうかと思ったのですが、冷静に考えれば髪を結ぶだけでなれるツインテールをわざわざモデリングしなくてもいいですね。

 となるとショートカットにしてみましょうか……伸ばすのはできても、切ったらしばらくそのままですからね。


 ガチャリ


 いつも通りの手順でドアを開けてお兄ちゃんに飛びつく、幸い今日は私が飛びつきやすいところにいてくれた。

「おにーちゃーん……」

「なんだよ一体? 食事だけって訳でもなさそうだな?」


 お兄ちゃんも微妙なところで察しが良いですね。


「はい! 私の髪型、どんなのがお兄ちゃんの好みかなと思いまして、ショートとロング、どっちが好みですか?」


 お兄ちゃんは少し考え答える。


「どっちでもいいと思うけどロングかな」


 なるほどなるほど、お兄ちゃんはロングが好きと……ショート少なめロング多めでモデリングしましょうか……


 私は食事を置くと「期待しててね!」とだけ言って部屋を出ました。お兄ちゃんの理想に近づくため、私は手段を選ばないのです!


 ふぁさーと髪を広げたモデルとツインテールのモデル、ポニーテールのモデルを作りました、ショートはショートボブくらい作っとけば良いでしょう。

 ん? そこで私は一つ思いつきました。

「縦ロールもいけるんじゃ無いでしょうか?」

 現実だとセットの面倒な髪型も一度作ってしまえば呼び出すだけのお手軽仕様です、これはやっておいた方が良いでしょう。


 私はそれから難儀な縦ロールのモデルを作り、それを保存してお兄ちゃんの部屋に盛っていきました、夜明けまでかかりましたが……やり遂げました。


 翌朝、私はお兄ちゃんの部屋へ自分のノートPCを持っていきました、もちろんVRモデルが入っています。


「お兄ちゃん! 私のファッションショーをご覧に入れましょう!」


 私はお兄ちゃんの机にノートPCを広げ、VRモデルのプレビューをしました。


「ささ、お兄ちゃん、どれが好みでしたか?」


「そう言われてもな……どれもよかったぞ」


 どれも良いって一番困る答えなんですよねえ……


「じゃあ、服装はちょっと差がつけられなかったので、髪型はどれが好みでしたか?」


 そう、時間の節約のために服装は白のワンピースです。実は裸ワイシャツを考えたのですが、私がその格好を見せる前にVRモデルを見せるのもなんか癪なので服は手を抜きました。

 お兄ちゃんも悩んでいるようですが結論を出してくれました。

「このストレートロングかな」

 ふむ……大体今の髪型と変わりませんね。

 使うモデルは決定しました、あとは……

「お兄ちゃん、今日の八時以降にこのアドレスにアクセスしてくださいね!」


 私は配信用サーバのプライベートIPアドレスを書いた紙を渡す。

 お兄ちゃんはキョトンとしているがいずれ分かるので楽しみにしておいてもらいましょう。

 ……とまあ、そんなわけでVR配信をしたわけですが……お兄ちゃんの『本物のほうがずっと可愛い』の一言にノックアウトされてこの企画はお蔵入りするのでした……

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