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読書感想文

「お兄ちゃん! 文庫の補給に来ましたよ!」


 私は今、お兄ちゃんの部屋に買い物袋に詰めた文庫本をもってきている。

 お兄ちゃんのたっての希望で暇を潰せる本を持ってきてくれということでした、お兄ちゃんからの頼みは断れませんからね。


 ちなみにラノベから一般文芸までカバーしているが残念ながら妹モノの割合は低い、なぜもっと妹モノを出さないんでしょうか……?

「ありがと……出来れば本屋に連れてって欲しいとこだけどな」


「それがダメなのは分かってるでしょう? それとも私に忠誠を誓いますか?」


「……」


 お兄ちゃんが欲しいって言うから本を持ってきたんです、お兄ちゃんの面倒は私が全部みるので問題ないはずですが……


 電子書籍ならこんなに重くも大きくもないのですが、やはり通信端末をあげるのには抵抗があります。

 ドスン

 私はテーブルの上に書店の袋を置く、結構な量なので大きめの音が出た。


 お兄ちゃんはガサガサと袋の中身を眺めている、そしてポカンとして私に言った。


「意外と妹モノ少ないな? お前のことだから全部妹ヒロインにするかと思った」


 お兄ちゃんの私への偏見が凄いですね……私だって良いものは良いと判断しますよ。

 袋の底の方をみてお兄ちゃんが驚く。


「え! オライリーじゃん!? こんなにたくさん?」


 私のサプライズはちゃんと通じたようだ、オライリー、技術書界の高級ブランドでページ数あたりの値段が他の本より大分お高い。


「一応ここのパソコンで開発が出来る言語しか買ってないですけどね。まあ十分でしょう」


 お兄ちゃんが少し興奮しながらPythonやPHPの本を出してみる、持ってきておいてなんですが、スタンドアロン環境でPHPの勉強をする意味ってあるんでしょうか……?


「なあ……これ、結構高いよな……いいの?」


 全部新品なので結構な値段がする、オライリー一冊で文庫なら数冊買えますからね。


「お兄ちゃんも退屈していると思いましたので、お兄ちゃんの欲望は私が満たしてあげますよ?」


「そうか……外に出たいって欲望も満たして欲しいんだがな……」

「お兄ちゃん……もう外に居場所はないんですよ? 早く私を受け入れた方がいいと思いますよ」


 ニーズには応えるが私の欲望のほうが優先されます、お兄ちゃんは妹のために身体を張ると数多くの作品で描かれています。


「ところで、これで書いたコードをgithubに公開したいんだが……?」

「USBメモリがあるのでそれにソースを入れてください、私の検閲の後で代わりにコミットしておきます」


 これをやるとどれが最新版なのか分からないファイルが大量に出来そうですが、そこは私なのでマメに管理します。


「あとお兄ちゃん! 本の感想文お願いしますね! 私のチョイスが正しいか分からないので反映しますから」


「希望には応えてくれるのか……」


「そうですね! お兄ちゃんは私の大体全てですからね」

 そう言って部屋を後にした。

 数日後、技術書の感想が送られてきて私は理解できず頭を抱えました。

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