闇のゲーム
「お兄ちゃん! ゲームをしましょう!」
「えぇ……どうせまた妹モノのギャルゲだろ?」
お兄ちゃんは私をなんだと想っているんでしょうか……?
「違いますよ、私謹製のブロック崩しです!」
お兄ちゃんは意外な顔をする。
「珍しいな、まともなゲームか。というかお前が作ったのか?」
「はい! 手っ取り早くJavaScriptで書きました! これならブラウザさえあれば動きますからね」
pygameとかのSDL系だと実行にライブラリが必要で、お兄ちゃんのPCには入っていない、その点JSならブラウザさえあれば動いてくれるので問題ありません。
「別にいいけど、何でまた?」
「古のゲームを復活させるのも悪くないかと思いまして」
「古? いや確かに古くからあるゲームだけどさ?」
お兄ちゃんは怪訝な顔をする、私はそんなこと構わずにUSBメモリをお兄ちゃんのPCに刺してファイルをコピーします。
WEBサーバは用意が面倒なので全部ローカルで実行する形式にしました。
「ささ、どうぞどうぞ」
私はindex.htmlを開いてお兄ちゃんにプレイを促します。
「ああ……なんで背景がお前なんだ?」
私はそっぽを向いて口笛を吹きます。
「さあ? 昔はそういうの多かったらしいですよ?」
お兄ちゃんはマウスをクリックしてボールを飛ばし、プレイを始めます。
数回ボールをはじいて私に訊いてきました。
「なあ……このブロック崩し、服が消えていってないか?」
「さすがお兄ちゃん! そこに気付くとは! そう、これが古のインターネットにあった脱衣ブロック崩しです!」
お兄ちゃんはこめかみを押さえながら私に言います。
「昔のネットユーザーに謝れよ! もっとまともなゲームあったろ!」
「知りませんねえ……昔はえっちなサイトを見るために苦労してたらしいですよ? ブロック崩しなんてなんてことの無い難易度だったらしいですし」
「そういう問題じゃないだろうが……なんでお前の画像を用意したんだよ……」
「それはもちろんお兄ちゃんにプレイしてもらうためですよ? うれしいでしょう?」
お兄ちゃんはUSBメモリを引っこ抜くと私に返しました。
「頼むからまともなゲームにしてくれ、これなら妹モノのギャルゲの方がマシだ……」
お兄ちゃんはさらりと失礼なことを言います。
「あ、もしかして下着止まりなのが不安でしたか? それ以上は私も流石に恥ずかしくて……」
「違う……ゲーム=エロゲという認識を改めろよ」
そう言って私にUSBメモリを押しつけて部屋から追い出されてしまいました。
「むぅ……もっと過激でないとダメでしたか……次はもっと……恥ずかしいですね……」
私は次なる計画を練りながら部屋を後にしました。




