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アイドル活動(地下)

「なるほど、アイドル活動ですか……」


 妹は現在テレビを見ている、女児向けアニメだが兄の性癖に関係ありそうなことは全て攫っている、愛故に……


 テレビの中ではアイドル志望の少女たちが懸命に皆の耳目を集め、時にはLiveをやったり、時にはローカルイベントに出たり、時には崖を登ったりしている。


「アイドルになればちやほやされるんですねぇ……お兄ちゃん的にはどうなんでしょう……」


「で……ここに来たと……」


 お兄ちゃんは疲れた顔を浮かべながら私の解説を聞いてくれる。


「で、お兄ちゃんのステータス的にもアイドルの妹がいるってプラスだと思うんですよ!」


「そりゃあ……まあ……嫌いではないな」


 お兄ちゃんは少し考えてそう答えた。

 よし! アイドル始めよう。


「じゃあ、私がアイドルになったら恋愛対象になりますか?」


 私が勇気を持ってそう聞くとお兄ちゃんはシンプルな答えをくれた。


「アイドルの恋愛は炎上要素の台表みたいなもんだから、アイドル始めるなら俺を解放して関わらない方がいいぞ」


 ぐぬぬ……アイドルに恋愛は御法度……そうでした、今までリアルでアイドル的な人が恋人関連でいくつも炎上してましたね、誰とは言いませんが。


 しかし、それではお兄ちゃんの理想にはなれないじゃないですか……


 それなら……


「じゃあ! 私は、お兄ちゃん専用のアイドルになります!」


 そう! 別にアイドルと言っても男性向け女性向け幼児向け等々いろいろある、ならばお兄ちゃん向けアイドルがあってもいいじゃないですか!


「いやあ……もっと大衆受けを狙った方がいいぞ、お前結構可愛いし……」


 ふおおおおお!!!!


 お兄ちゃんが私を可愛いと認めましたよ! やりました神様勝利の女神様! 大勝利です!


「可愛いなら問題ないじゃないですか! 可愛いは正義ですよ!」


「その言葉最近の若者は知らないかもしれないぞ」


「なっ……」


 私が死語を使うなど……ナウなヤングのこの私にあるまじき失態です!


「じゃあ俺はそろそろ出てもいいかな?」


 私を通り過ぎようとするお兄ちゃんの肩をガッと掴む。


「ええと……まだなにか?」


 お兄ちゃんは分かってないですねえ……アイドルと言っても地下アイドルというものがあることを知らないとはね……


「お兄ちゃんには私のライブに付き合ってもらいます!」


「ライブってステージも何も無いじゃん?」


 そう聞くお兄ちゃんに現実を教えてあげる。


「お兄ちゃん……マイナーアイドルにはライブに来たのが家族の人数以下なんて珍しくないんですよ……」


「ひぇ!」


 と、まあこういうわけで、私のオンステージに徹夜で付き合ってくれたお兄ちゃんは正午現在カメラで見る限りピクリとも動かず泥のように寝ているのだった。



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