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妹のヒロイン論

 お兄ちゃんに妹の素晴らしさを理解してもらわないといけませんね……


 ふむ、Unityを使えば簡単にゲームが作れる……? これです!


 私はその日一日かけてシナリオを書いていた、お兄ちゃんに妹ゲーをやってもらいたい、でも私以外の妹に目を向けて欲しくない、なら私が作っちゃえばいいじゃないですか!


 ボイス担当、私。グラフィック、実写。


 クレジットに私以外載らない作品を作ろう、お兄ちゃんにプレイしてもらうために……


 そうして数日、お兄ちゃんに秘密でゲーム制作をしていた、そうしてついに私オールスターのギャルゲーが完成した。


 ちなみに幼なじみやクラスメイト、委員長も用意したが全員妹の文代用ヒロインだ、それらを選んでも結局妹エンドに向かうようにフラグ管理がされている。


 なお妹は完全血縁エンドオンリー、安易に義妹に逃げたりしない仕様だ。


 私はWi-Fi機能の無いノートPCをお兄ちゃんのところへ持っていった。


「お兄ちゃん! ゲームを作ったのでプレイしてください!」


「まーたロクでもないこと思いついたのか……」


 お兄ちゃんはあきれ顔だが、私の力作をプレイしてもらわなければならない。

 お兄ちゃんの妹観は強制しなければならない、実妹だっていいじゃないと思わせなくっちゃね。


 ノートPCの電源を入れデスクトップのショートカットをダブルクリックして始める。


 まずお兄ちゃんが選んだのは幼なじみヒロインだった、可愛い妹が隣にいるのにそう言うところがダメだというんだよ……


 案の定幼なじみヒロインが他の男になびいて主人公の元を去って行った。

 そこですかさず妹が主人公を励ます、妹の一途な姿勢に主人公は……


「どうです! 素晴らしいシナリオでしょう?」


「これヒロインを選ぶ意味があるのか……」


 お兄ちゃんは二週目を始めて、今度は先輩ヒロインを選んだ。


 先輩ヒロインは突然ネトゲ廃人になって主人公そっちのけでネトゲ上の彼氏にドハマリしていた。

 そこで妹が同じネトゲに参加してお兄ちゃんとギルドを作り発展させていくというストーリーだ。


「……」


 お兄ちゃんは無言で三週目に入っていった。

 今度は委員長ヒロインを選んだ、まだ妹を選ばないあたり強情ですね……


 委員長は主人公といい感じになったところで新興宗教にハマって主人公をしつこく勧誘するシナリオだ。

 もちろん妹が乱入して洗脳イベントから救出して妹とくっつく完璧なシナリオだ。


「……なあ……」


「何ですか?」


「これ……ヒロイン選べる意味ある?」


 お兄ちゃんはいいところに気付いてくれた。


「そうです! 妹以外を選ぶなんてあり得ないんですよ! 妹最高というのがこのゲームのメッセージです!」


「えぇ……」


「どうでしたか? 妹の良さが分かったんじゃないですか?」


「うん……まあ……久しぶりにPCが使えて良かったよ……」


 お兄ちゃんはゲーム内容については言及しなかった、きっとあまりの素晴らしさに言葉に出来ないのだろう。


「じゃあ二作目とかも考えとくんで妹キャラに希望があったら言ってくださいね?」


「妹限定なのか……」


 お兄ちゃんはあきらめた様な顔で部屋を出て行く私を見送っていた。

 ようし! 今度は主題歌まで入れちゃいましょうかね!

 私は第二作を妹史に残る名作にしようと気合いを入れるのだった。  

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