エンベデッド入門
「あぁ……FPGAやりたい……」
暇を持て余した私はFPGA※でなんか作ろうかと血迷っています……
※プログラミングで回路を変更できる基板
「お兄ちゃん持ってないかな?」
私は即お兄ちゃんの元部屋へと行きました。
本棚を上から眺めていきますが……
「無いですね、さすがにそこまでマニアックなモノは持っていませんか……」
眺めていると、ふとある本が目につきました。
『Arduino※を始めよう!』
※マイコンの一種、入出力をプログラムでコントロールできる、基板レベルでの改造は基本的に無理
うーん……微妙に目的とは違うんですけど……まあいいでしょう。
私はArduinoマイコンの本を手に取りお兄ちゃんの元へ行きました。
「と言うわけなのでお兄ちゃんArduino持ってません? Unoあたりがいいです!」
「清々しいほど、図々しいなあ……まあいいや、部屋の工具箱の中にブレッドボードやLEDとか各種パーツ含めて入ってるよ、好きに使っていいぞ」
お? お兄ちゃんにしては珍しく私に譲ってくれるようですね、いいです、妹に優しいその姿勢は褒められますね、良いです。
「ちなみにお兄ちゃんは何かプログラム書いたことあります? Arduinoの言語って初めてなんですよね……」
「LED光らせたり、ビープ音ならしたりくらいだな、値段からして実用レベルにはキツいだろう?」
Arduinoはお値段二千円以下、さすがに実用レベルを作るのは少々厳しいですか……
「まあ暇ですし、なんか作りましょうかね……」
「そうか、できたら見せてくれよ?」
「お? 興味がありますか?」
お兄ちゃんにしては珍しいですね、まあ妹の作品を見たいというのは兄として当然かもしれませんが。
「俺は大したもの作れなかったからな、なんか実用レベルの物ができるなら見てみたいかな」
ほほう……責任重大ですね。
「いいでしょうとも! 妹の本気ってやつを見せてあげます! 期待しててくださいね!」
私は大見得を切ってお兄ちゃんの部屋を出ました。
そうして基板を部屋に持って帰ってから……
「無理じゃないですか……?」
二十本と少しのIOで何を作れというのでしょう? とりあえずLEDを光らせる定番の『Lチカ』はやりましたが、それ以上は難しいですね……
お兄ちゃんのツールセットには謎のICなども入っていました、型番で検索したところオペアンプのようです、以前のことから判断するにおそらく怪しい中華業者から買ったコンパチのパチもんでしょうね……
「コレで何を作れというのでしょう……?」
セットから見るに、ラジオくらいは作れそうですがArduino要素は微塵もないですね……
しっかしLEDすごい光りますねえ……
目に優しくないくらいの光りっぷりです、あ! やば!?
LEDをブレッドボードから引っこ抜きました、保護抵抗を刺すのを忘れてました。そりゃあよく光るはずです……
適当にセットに入っていた抵抗を噛ませて光らせてみるとそれなりに目に優しくなりました。
さて? 私は一体コレで何ができるのでしょう?
私はその日、悩みながら眠りにつきました。