『一』の話
「お兄ちゃん?」
「なんだー? またヤバイ話ぶっ込んでくるなよ?」
「今のLinuxって伽藍とバザールだと伽藍ですよね?」
「だからさあ……! そういうナチュラルに敵を増やす話はやめようって言ってんの!? 分かってくんないかなあ……」
私は気づいてしまったんだからしょうがない、誰でも参加? FxCKと返事が返ってくるかもしれないコミュニティに気軽にポストできるでしょうか?
「さてソレはともかく……」
「ジャブが重いよ! 読者が分かんないネタぶっ込むのやめよう!?」
「林檎の新しいサブスクリプションに登録したのです」
「ああ……アレね、始まったらしいね」
「ミュージックとストレージで元は取れますからね、問題ないかと」
「なんか奥歯にものの挟まったような言い方だな……?」
まあ……その通りなんですけどね。
「えぇ……ゲームがね……」
「おまけだし別にいいんじゃないか?」
「まあ、いいんですけどねぇ……なんというか……所謂バタ臭い絵柄が揃ってるんですよねえ……」
「あぁ……」
お兄ちゃんも察してくれたようです。なぜアメリカ企業はローカライズを頑なにしないのでしょう? ちょっと絵柄がアメリカンすぎやしませんかね?
「ま、ストレージとミュージックのおまけにテレビとゲームがついてきたっていうのが正しいところでしょうね」
私は諦めの境地で言いました。
「そんなもんだろうな……意外なところはあんまりないな」
「お兄ちゃんはドライですねえ……」
「だって日本企業じゃないし、媚びないのは昔っからじゃん?」
それはそうですけど……
「もうちょっと期待してあげてもいいんじゃ……」
「で、オチがコレじゃん、期待しない方がいいだろ?」
むむむ……確かにお兄ちゃんのいうとおりなのですが……
「革新的IT企業とかいう感じで紹介されてると期待するじゃないですか?」
「信じる者は裏切られる、よく分かったろ?」
お兄ちゃんは聞くも無惨な正論をぶつけてきます、何か擁護するところは……
「そう! ストレージ50Gとミュージックをあわせると1110円! 何と十円安いのです!」
「十円ねえ……月十円、年で百二十円だぞ?」
「ちりつもですよ! 十年で1200円にもなるじゃないですか!」
「十年かけて元を取るのか……」
「何せ私は敬虔な信者ですからね? 例えプロセッサーのアーキテクチャを強引に変更して以前の連中はエミュ使えと言われてもついていきますよ?」
「お、おう……」
「ソ○ックがゲームに入ってるくらいですからね、きっと日本企業も協力してくれますよ!」
「わー、希望的観測……」
「む……いいでしょ! 希望を持つのはいいことなんですよ?」
「ま、まあ、お前が満足ならいいんじゃないか?」
とお兄ちゃんは私の用語を身も蓋もない一言で切り捨てるのでした……
いいですよー! 私はTVとゲームを楽しみますから!
私は涙目で部屋を出たのでした。