ハッピーハロウィーン!
「お兄ちゃん! トリックオアトリート!」
「ハロウィーンか、お菓子はこの部屋にはないぞ」
「じゃあいたずらを」
「いろいろ不味いからやめろ……」
お兄ちゃんはノリが悪いですねえ……ハロウィーンお決まりのネタでしょうに。
私はお兄ちゃんにイタズラがしたいのですよ! したいのですよ!(大事なことなので(以下略
「ハロウィーンねえ……アレは子供たちのお祭りじゃないのか?」
「私は子供と大人を行き来するシュレディンガーの子供なのです!」
「堂々と都合のいい話を作るんじゃない」
高校生って大人なのでしょうか? 都合のいい方に合わせた方が便利じゃないですか?
「ほらほら、ハロウィーンパーティーやりますよ!」
「ここでかよ……」
お兄ちゃんの部屋の机にパンプキンケーキを置いて取り分けました。
「そもそもウチ、仏教徒じゃなかったっけ?」
「私は無神論者ですよ? こういうのはノリが大事なんですよ? 日本人がみんなしてクリスマスを祝ってるのに何を今更言うんですか?」
「いやまあ確かに……そうなのか?」
「そうなんですよ、モグモグ」
私はケーキを食べながら適当に返します。
「あれ……そういえば何かを忘れているような……」
「どした? 忘れたってハロウィーンの準備か?」
「いえ……なにか今日買わなければいけないものがあったような気がします」
お兄ちゃんはふーんと興味なさげです。
そこでピンときました!
「やっばい! Microsoft365のサブスクリプションカードでした!」
私としたことが……すっかり忘れていました!
期限が切れたらExcelが使えなくなっちゃう!
割とExcelが大事です、Wordやパワポはそんな使わないですけどExcelは必須です。
「ちょっと電気屋に行ってきますね、ケーキは取っておいてください!」
私はパパッと防寒着を着て自転車を走らせます。現在午後6時前、空いてるかどうか微妙なところです。
――タタッ
よかった……まだ灯りがついてる……ぜぇ……ぜぇ……
シャーと自動ドアが開いたのでまだ営業時間内ですね、蛍の光が聞こえてきますが……
私はサブスクリプションカードを棚から取るとレジに直行しました。
ギリギリセーフで購入できたので安心して帰宅します。
――ガチャ
「ふぅ……お兄ちゃん! お待たせしました!」
「クレジットカードは……持てないか……しかし電気屋でカード買ってたんだな……てっきり……」
「しっ! 私はコンプライアンスを遵守する妹なんですから不穏なことなどするはずないでしょう!」
「お、おう」
コンプライアンスって大事ですよね? バイトの面接で明らかに共有して使用していたアレやコレは見なかったことにして、せめて私だけでも法令順守を徹底したいものです。
「まあいろいろありましたが……ハッピーハロウィーン!」
「はいはいハッピーハッピー」
お兄ちゃんのノリが余りよくない気がしますが、その日はケーキを食べて無事に二人での生活ができたのでした。




