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性悪説に基づいたコーディング、あるいは妹へのリスペクト

「チョロいもんだぜ」

 私は一つのコードを提出しながらつぶやきます。

 ゴリゴリゴリ押しでいけるコードには強い私です、貪欲なのはいいことですね。

 どこのとは言いませんが、貪欲法で解ける問題がちょうどあったので解いてみました。

 計算量が総当たりで間に合う量なら簡単簡単……

 現実には想定外の入力や、とんでもないサイズの入力、悪意のある入力etc……がありふれてますから、競プロの場合くらい忘れてしまいたいものです。

 理想的な入力と、明確な答えがあることってなんて素晴らしいんでしょうね!

 さて……と。

 現実逃避はこれくらいにして、この「現実の」コードと向き合いましょうか……

 「性悪説」に基づいたクソみたいなtry-catchやプレースホルダ、プリペア度ステートメントその他諸々……

 別にセキュアなコードを書くのは嫌いではないのですが……退屈なんですよねえ……

 自分で考えて書くならともかく、偉い偉い誰か様の書いたクソコードの保守というのは精神力をドンドン削っていくものです……

「お兄ちゃん……慰めてください……」

「はいはいえらいえらい、よしよし」

 お兄ちゃんの慰め方、雑じゃないですか? 私という可愛い妹が泣きついてきたんだからもっと優しくしてくれてもいいでしょう?

「お兄ちゃん、もっと心を込めて! 私が可哀想じゃないんですか!?」

「ええ……だっていつものことじゃん……」

 む……確かに少しお兄ちゃんに泣きつきすぎているような気もしますけど……

「お兄ちゃん! もっと優しく! 心を込めて! 甘やかして!」

「えー……」

 お兄ちゃんはいつものことといった感じで余り心がこもってないんですよねえ……

 もう少し、妹に優しくしてくれてもいいじゃないですか?

 お兄ちゃんは少し考えてから私をギュッと抱きしめてくれました……

 そうですよ! コレコレ! このくらいの役得は欲しいんですよ!

「お兄ちゃん……ふへへ……」

「はいおしまい」

 お兄ちゃんはさっと私の身体を引き離しました。

「足りないです、不満です、優しさの増量を要求します」

「否決」

 お兄ちゃんは妹へのリスペクトが足りないですね、数少ない肉親というアドバンテージ、年下という庇護対象、何より可愛い! これで妹を愛さないお兄ちゃんがいるでしょうか?

 そう、妹はお兄ちゃんに愛されるキャラなのですよ!

「おにいちゃーん……もうすこしやさしくしてくれてもいいじゃないですかー」

「すぐそうやってつけあげるから優しさ少なめにしてんだよ」

 しょうがないですね……今日はこのくらいで勘弁してあげましょう。

「じゃあお兄ちゃん、また明日」

「ああ、また明日……」

 そう言って私は部屋を後にして、部屋に戻ってさっきの出来事で火照った身体を冷やしたのでした。

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