第4話 契約
「誰だ?」
「答えよ。力が欲しいか?」
疾は聞いた。
「力ってどんな力だよ?」
「我の、悪魔の力だ。」
悪魔と名乗る声は続けた。
「悪魔の力をお前に授けよう。さすればお前は蘇り、如何なる攻撃にも耐え、超越した力が手に入る。」
「本当かよ。信用性に欠けるな。」
「今お前の身に起きている事は全て嘘か?その痛みも、この世界自体が幻か?」
疾も分かっていた。
悪魔の言うことは正しい。
霧を抜けたら辺り一面大平原。
夜だったのに快晴。
見たこともない生き物。
そいつに殺られた自分。
全て本当だろう。
疾は悪魔に聞いた。
「お前の力とは?」
悪魔が言う。
「契約した者にのみ授ける。」
疾が聞く。
「お前は俺に何を求める?」
悪魔が答える。
「我と契約した暁に、お前の体の一部を頂く。どこを頂くかは契約した時にしか分からぬ。」
疾は考えた。
思えば元の世界で殺り残した事がある。
第一にこんな訳の分からない死に方も、あんな未知の生物に殺られた事も納得いかない。
自分の死に場所は自分で選ぶ。
自分が満足いく死に方をしたい。
「・・・お前の力で元の世界に戻れるのか?」
「それはお前次第だ。最後に問うぞ。我を求めるか?」
「俺に力をくれ。この世界で生き抜く力を!」
「契約成立だな。」
再び疾は意識を失った。




