第2話 霧の中には・・・
「今回の暗殺も無事終了した。」
そう思いながら、疾は依頼主の元にいつものように向かった。
彼は移動には車を使うことが多いのだが、この日は徒歩で指定場所に向かっていた。
向かう先は森の中。
依頼主との金の受け渡しは一対一でやることがルールだ。
これも不意打ち等を警戒した疾独自のルール。
当然近くに護衛等を置けばルール違犯とし、排除される可能性があるため、依頼主は皆守る。
あらゆる戦闘術、武器を使いこなす疾に対し依頼主も緊張の糸がキレない。
もうすぐ依頼主の元に着く。
当然時間もビッタリだ。
夜も深くなった森は、静寂に包まれている。
「なんだ?急に霧がでてきたな。」
依頼主の元に近づくにつれ、霧が濃くなっていく。
「霧が出るような気候ではないはずだが・・・」
そう感じながらも前に進む。
やがて自分の伸ばした手の先も見えなくなるくらいに、霧は濃くなっていった。
「いつまで歩けばいいんだ?」
そう思い始めた矢先、霧が徐々に晴れ、光が見え始めた。
「おかしい?今は夜のはず。」
「なぜ明るい?」
そう思った疾は晴れた霧の先、自分の周囲を見渡し驚いた。
先程まで木々が生い茂る森にいたはずなのに。
夜もかなり深まり辺りは真っ暗だったはず。
しかし、回りを見渡せば大平原が広がり、空を見れば雲一つない快晴だった。
普段は冷静な疾もさすがに困惑した。
「あり得ない・・・」と。
そんな困惑する疾は背後から殺気を感じた。
振り替えると、頭に角が二本生えた馬のような生き物がいた。
「なんだこいつは!?」