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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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70 ミンチミンチにしてあげる

「ありがとう。もぐ。うん、カーツくんの作ってくれたのもおいしかったけれど、キリカちゃんが作ってくれたのもおいしい」

 キリカちゃんが嬉しそうに笑った。

「え?俺の作ったのおいしかった?」

 カーツ君が驚いた顔をする。

「うん。もちろんだよ。だって、私のために作ってくれたってそれだけでも最高のごちそうだもの」

 違う?って小さく首を傾けると、カーツ君がきりっと表情を引き締めた。

「今度はもっとうまいの作るよ!ユーリ姉ちゃんのために、もっとうまいの作るからな!」

「キリカも!いっぱい料理して上手になって、おいしいものユーリお姉ちゃんに作ってあげるの!」

「じゃぁ、私も!もっといろいろおいしいものをカーツ君とキリカちゃんに作ってあげられるように、レシピの研究がんばるね!」

 仲良くお互いに角煮干し肉サンドを作って食べた後、パンの丸い端っこを焼いてスパイスグミジャムをたっぷりぬって挟んだ。

「はい、どうぞ、これみんなで積んだグミで作ったジャムよ。MPポーションが入っているからちょっと色は黒くなっちゃってるけど……」

 私たちは3人とも魔法は使えないからMPポーションの効果でMPが回復する様子をステータスで見ることはできない。なのでもうメモは必要ない。

 ぱくん。

 はー。やっぱりおいしい。スパイスのすっきりした風味と濃厚な甘み。火を通したグミの果糖の甘さとMPポーションの甘さが煮詰められて濃厚。

 おいしいなぁ。他の果物でも作ってみたいな。リンゴにこのジャム塗って焼いたらおいしそう。

 キリカちゃんがパクンとパンをかじる。

「あ、ごめんね、ちょっとたくさん塗りすぎちゃったかな」

 パンからジャムがはみ出して、キリカちゃんの口の周りにべっとりとジャムが付いてしまった。

「ユーリお姉ちゃんっ」

 キリカちゃんの目が驚いた猫みたいにまん丸になった。ん?本当に猫みたいな目だね。

「すんごく甘いの。甘くて甘くて、幸せな味なの。キリカね、お姫様になったみたい」

「ふふ、そう。よかった」

「うわー、マジでこりゃすごいやっ!甘い。これ、金持ちしか食べられない甘いお菓子ってやつだよな?すげー。グミとMPポーションからできるんだっ!」

 そうか。砂糖が貴重品だから、ここまで甘いものって二人は口にしたことないんだね。

 お菓子というか、日本の基準で言えば、ジャムを塗っただけのパンは、お菓子じゃなくてパンだよ。

 菓子パンというほどでもなく、ジャムトーストというか……。

 いつか、ちゃんとお菓子を作ってあげたいなぁ。


 午後は、スリッパのような武器を片手にゴキスラをひたすら叩きまくる。

 鍛えないとなので、魔法が使えるようになるのが夢なので、夢のために……。

「いやぁーーーっ、来ないで!ひぃーっ!にゃぁーっ!」

 びしっ、ばしっ、ばばばばばっ!

「すげーよなユーリ姉ちゃん」

「うん。すごいの。かっこいい。キリカもがんばるのっ!」

「俺だってまけねーよ!」

 ダンジョンルール、無理しない。

 はぁ、はぁ。

 息が上がったのでいったん外へ。

「ステータスオープン」

 レベルは2のまま。うーん、レベル1から2へはすぐに上がったけど、2から3へは上がりにくいのかな?

 そりゃそうか。そんなに簡単に上がっていくなら何年も小屋にいる必要ないもんね。

 うー、先は長い。10年とかかかったらどうしよう……。もう40になっちゃうよ。せめて5年で何とかしたい。がんばろうっ!

 角煮干し肉をかじる。補正値がプラス7つくから、HPの回復スピードも7割程度。何もしないよりはかなり早い。というか、私の場合は15しかないので1分もせずに全回復。

 便利なのは、効果が切れるまで回復し続けるってことなんだよね。

 さてと。魔のゴキスラと再び会いまみえましょうか……ううう。

 適当な時間で切りあえて、夕飯作りスタートです。

 料理を覚えたいという二人と一緒に楽しく作ります。へへへ。毎日こんなに楽しく料理ができるなんて夢のようだ。

 日本にいるときは、正直毎日3食きっちり作るのは苦痛で、自分ひとりのときは、朝の残りか夜の残りで済ますことが多かった。

「何を作るんだ?」

 猪肉を取り出す。

 ブライス君に氷を作ってもらって冷やしてあった肉です。

 それから、畑から取ってきたニラ。

「今日は餃子を作ります!」

 ニンニクはないけれど、ニラがあるので入れなくてもいいよね。

 カーツ君もキリカちゃんも、獣の解体を手伝えるくらいだから実は刃物の扱いができると言うことに気が付いた。

 日本だと子供に包丁を持たせるなんて、怖くてできない!って思っちゃうところだけど……。

「まずは、お肉をミンチにします」

「ミンチ?」

 ああ、ミンチってこっちではしないのかな?

「えーと、細かく切ることよ。こうして、こうして、トントントン」

「分かった!」

「手を切らないように注意してね」

 キリカちゃんとカーツ君が肉をミンチにしている間に、他の材料の準備。

 味付けは、いろいろなレシピを見ていろいろ作ってみたけれど、ここではあるものを使うしかない。

 具は猪肉とニラとキャベツ。塩はないので少量の醤油を使おう。

 ニンニク生姜はあきらめ、ごま油も諦め、あとは酒。

 食べるときはラー油はあきらめ、酢醤油。

 うん、あっさり餃子。野菜多めにしてヘルシーにしようかな。

 あとは、餃子の皮なんだけど……。

 強力粉で作るんだよね。小麦粉って、強力粉かな?薄力粉かな?

 倉庫に小麦粉を取りに行く。

 ……。

 まずい麦……米の入った袋はある。

 うん、ないです。

 麦の入った袋が無いです……。小麦粉、ないですっ!


いつもありがとう!GWですね!

GW中にいっぱい更新できるといいのですが、そういうわけにも無理なので……。

活動報告コメント欄に、しりとりでおすすめ小説!って遊びをしております。

面白い小説ないかなぁ?暇だなぁ?なんか読みたいなぁ?という方はご参考にどうぞ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 500mlのコーラ1本で角砂糖17個分の糖分らしいですからね。 それを煮詰めればそりゃ甘々です〜。
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