57 光
「あ、もしかして角煮には使えないか!MPポーション無いときに作ってたもんな……そうか。朝にはMPポーション料理試せるかと思ったが……」
ローファスさんが、両手で頭を抱えた。
「す、すまん、それでも俺は、角煮が食べたいんだっーーー!」
誰に向かっての謝罪なのか。
誰に向かっての主張なのか……。
両手で頭を押さえつけ、天に向かって主張しております。
神に対する懺悔かしら?って、この世界の宗教観は知りませんが。罪深き我を許したまえーみたいな風に見えて仕方ありません。
角煮が食べたいのが懺悔しなければならないほどの罪かどうかと言われるとねぇ。
でも、なんか早くMPポーション料理の効果を知らなくちゃという気持ちは伝わってきました。
はい。夕食に使わなくてごめんなさい。
えーっと、コーラだからね。MPポーションコーラ味だからね。私の記憶が間違っていなければ……。
「大丈夫ですよ?」
コーラで角煮レシピってかなりメジャーだったはずだ。ジンジャーエールの代わりにコーラにしても問題な……。
いや、日本のコーラよりもスパイシーだからちょっと問題出てくる?
生姜の臭み消しとしてジンジャーエール入れたいしなぁ。
あ、大量に作るし……。
「ポーションも、MPポーションも両方使いますから。両方とも効果があるといいですね」
にこっと笑う。
ローファスさんが固まった。
ブライス君も固まった。
え?
「ポーションとMPポーションの両方が上級並みに効果があったらそれって……」
「ああ、初級エリクサーだな」
ローファスさんとブライス君が小さな声でひそひそと何か言ってる。
「僕の考えが甘かったかもしれません。思った以上に、すごいことなのかも」
「そ、そうだな……秘密を漏らさない契約を先にしていて正解だった。こりゃ、ちゃんと研究してから公開しないと、確かに大変な騒ぎと混乱になる」
「ええ。特に、キリカとユーリさんの作ったものに効果の差があったこととか……まだ分からないことだらけですからね……」
分からないことだらけ。うん。
頷いて私も賛同する。
「そうですね。混ぜても大丈夫かとかも分かりませんし、それを干し肉にしたらどうなるかとかもわかりませんし……。干しておいしくなるといいんですけどねー」
切り干し大根、干しシイタケ、うん。どれも旨み成分が増えるんだよねぇ。
よりおいしくなる。干し肉はどうなのでしょうね。
さっき試食した一夜干しの干し肉の味を思い出す。
臭みをうまく消せれば、肉のうまみは増えて食べやすくなるんだろうか?
研究の必要がありそうです。
冷蔵庫のないこの世界で生き抜くには、保存食がおいしい必要は必須項目なのですっ!
肉を買いに行くんじゃなくて、狩りに行く世界じゃ……いつ入手できるのか分からないし……。
ローファスさんとブライス君が、いや、そういう問題じゃなくてとかなんとかもごもご言っていたけれど、大事だよっ!大問題なんだよっ!
まぁいいや。
とりあえず作るのが先。
でっかい鍋にどーんと角煮用に切った肉を放り込む。あ!ネギ!臭み消しのネギがない!
「ネギがありませんっ」
「俺、取ってくるよ!」
カーツ君が走っていった。
「待って、外はもう暗いから危ないよっ!
そう。肉の処理が終わったころにすっかり日が落ちたのです。
「ほら、これ持ってけ」
ローファスさんがぽいっと石をカーツ君に向かって放り投げた。
まったく、ローファスさんは手渡すって知らないのかしら。
……あ、はい。
カーツくんは上手にキャッチしました。取り落とす私のような人間を想定してないっていうわけですね。
「光れ」
カーツ君の手にあった石がぴかっと光った。
「うわー、すごい!」
「あれは光の魔法石ですよ。ほら、そこにあるのと同じ」
ブライス君が天井を指さした。
そういえば、小屋の中は外が暗くなっても明るい。日本では電気が当たり前だったから、さして疑問にも思わなかったけど……。
そうかぁ、火の魔法石のコンロに、光の魔法石の灯り……。魔法世界も便利です。
……なのに、なんで冷蔵庫ないかなぁ!
あ!水の魔法石があるんだから、水で冷やすタイプの冷蔵庫とか作れないのかな?
気化熱とか利用した……クーラーじゃなくて、冷風扇みたいなの。ってことは風か。水と風……。
うっ、だめだ。私の頭じゃ分からないや。
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