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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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SABAKU

閲覧注意*動物をさばく表現が出てきます。苦手な方はご注意ください。

「うん、無理」

 岩が普通に砕けてます。

 魔法すごいです。いや、ローファスさんの剣技もすごいです。

 っていうか……私、本当に冒険者としてやっていけるんだろうか……。

 ……レベル10になれるかな……。冷蔵庫の夢が……。

 とぼとぼと小屋に戻ると、キリカちゃんとカーツ君が剣を手に立っていた。

 うおうっ、二人とも特訓?!

「ローファスさんが捕まえてきた猪の処理をしようってキリカと話をしたんだ」

「あ、そうね。うん。明日からブライス君たちいなくなるから……」

 よく見ると、カーツ君とキリカちゃんの手に握られていたのはナイフでした。ナイフ……。

 ああ、包丁じゃなくてナイフを使うんだ。そっか。狩りにも使えてそのまま肉をさばくのにも使えるわけだもんね。冒険者は包丁を持ち歩くようなことないか。

 今ならまだ教えてもらえる。

 私も……うん、私もがんばらなくちゃ、

 この間のとったメモを持ってキリカちゃんたちの後に続く。

「えーっと、血抜きは終わってるよね。つるしたまま皮をはぎ取るか……」

 あれ?つるしてあると、ある程度身長がないと届かないよね?キリカちゃんとか無理だよ?

 前回はブライス君主導だったから、メモ取るの必死で、直視も難しかったんだけど……。

 キリカちゃんとカーツ君二人に任せるわけにはいかないと、がんばって両目を開いてみると、いきなり壁にぶち当たる。

 ……これ、一番身長があるの私だし、私が皮を剥ぐ作業しないと続きができない案件なのでは……。

 無理だ。ごめん。

 私には、まだ無理……。

 主人の声が頭にこだまする。

 ほらな。何が働けるだ。

 ……うっ。

 情けない。

 私がこの子たちにできることは料理を作るくらいって、本当に情けない。

 ……料理……。

 じゃが芋もニンジンもリンゴも皮をむけるよ。イカだって上手だよ。鳥皮をはぐことだってできる。

 でも猪の皮は……。


「ねー、ちょっとびっくりしたんだけどさ、トマトの皮向くときの方法と、動物の皮剥ぐときの方法一緒なんだよ」

 突然大学時代の友達との会話を思い出した。

「トマトって湯むきするでしょ?動物の皮をはぐときも、お湯を使うんだってさ。肉が茹らない63度が適温らしいよ」

「63度だと茹らないってこと?」

「さぁ知らないけど。鳥の羽を抜くときは70度のお湯につけてから抜くとか言ってたし、まぁ温度はその辺適当なんじゃない?」

「っていうか、何でそんなこと知ってるの?」

「イマ彼がさぁ、マタギっていうの?あこがれててジビエ料理体験とかに行ったらしんだわ」

 友達に見せられた写真には、台の上にでーんと置かれた獣と、それを前にピースしている彼氏が写っていた。


 湯剥き……。

 お湯をかけながら皮をはぐ……。

 台の上なら、背の低いカーツ君やキリカちゃんにも手が届く。

「ブライス君、ローファスさん、手伝って!」

 特訓中の二人に声をかける。

 だけれど、お互いがお互いに意識を集中しているためか私の声が届かない。

「ブライス君、ローファスさんっ!」

 声がかれるくらい声を張り上げるけれど、やはり届かない。距離がありすぎるのも原因かもしれないけど……。

 あんまり近づくと、間違えてどーんとやられちゃいそうで怖くて近づけないんだよね。

 キリカちゃんがすたすたと二人が特訓しているところへ向かって歩き出した。

「危ないよ、だめだよっ!」

 あわてて後を追って止める。

「ローファスさん、ブライスお兄ちゃん、手伝わないとご飯抜きよ!」

 キリカちゃんの言葉で、ローファスさんがぴたりと動きを留めた。

「て、手伝う!手伝うよ!何をすればいい?」

 しゅんっと、まるで風のように素早い動きでキリカちゃんと私の前にローファスさんが来た。

「あ、ごめん。そうだったね。あとでさばく約束だったね」

 ブライス君がつるされた猪を見て頭を下げた。

「あの、友達に教えてもらったこと試してみたいんだけど……」

「何だ?何をすればいい?」

「僕にできることならなんでも協力しますよ」

 二人が先を競い合うようにして手伝おうとしてくれるのはありがたいけど……。圧がすごい。

 二人とも、そんなにご飯抜きって言葉が響いたのか……。


いつもご覧いただきありがとうございます。


マタギにあこがれるってなんだよ!とか思いますよね?でもテレビでやってました。

夫婦でマタギ。なんか猟に使う鉄砲の弾に種類があって、レベルが上がると使える弾の種類が増えていくそうで。旦那のが上級で、妻がそれを追いかけてる感じで。

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