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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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32 金持ちの飲み物

「あー、そうだったぁ!頭の回転といい、魔力量といい、つい大人と間違えちまう!すまん、すまん。まだ初級ポーションしか飲めないか。くぅっ」

 ローファスさんがブライス君の頭に手をのせてぐりぐりと撫で繰り回した。

「早く大きくなれっ!な!」

 ブライス君がローファスさんの手を払いのける。

「もちろん、そのつもりです。早く成長したいですからね」

「うんうん、それで、上級MPポーション飲んで朝練がんばろうなぁ」

 ニコニコ顔のローファスさんをブライス君が睨む。

「早く大きくなりたいのは、ローファスさんのためじゃありませんから」

 と言って、ブライス君の目が私を映した。

 いやいや、私のためにというなら、急がなくていいです。無理ですって!

「初級MPポーションじゃぁ、ブライスの魔力量と見合わないよなぁ……」

 ローファスさんがウエストポーチから別の瓶を取り出して、何かを思いついたように私を見た。

「ユーリ、これで料理頼むわ」

 は?

 手渡された小瓶は、ポーションの瓶と同じ。ただ蓋の形が違う。

 ポーションは丸いでっぱりのついた蓋。

 手渡されたのは、四角いでっぱりのついた蓋だ。中の液体は黒い。

「なんですか、これ?」

 受け取った瓶を目の前で振ってみる。

「初級のMPポーションだ。ここでとれるのは、体力……HPを回復させるポーションで、これは別のMPポーション畑でとれる魔力、MPを回復させるMPポーション」

 へー。

 MPポーションか!

 ファンタジーだよ、本当、ファンタジー!

 もしかしてMPポーションも調味料かな。黒というと……ソース?

 もう一度目の前で瓶を振ってみる。

 うーん、とろみはなさそうだ。ソースだったとしても、濃口や中農ソースではなくウスターソースか。

 ソースかぁ。串カツにたっぷり付けて食べるとおいしいよねぇ。

 ふはー。

 あれ?カツって作れそうじゃない?豚肉はないけど猪肉あるし、パンがあるからパン粉も。ああ、卵がないか!

 ちぇっ。

 うん、でもいいや。キャベツにソースかけて食べるのもおいしいよね!ふふふ。

 って、まって、ちょっと待って……。

「あの、これって、当たりですか?ハズレですか?」

 ローファスさんが大きな手を私の頭の上にぽすんと乗せた。

 おおう、これ、乙女がどっきりする頭ポンポン……ではなくて、そのままローファスさんが髪の毛が乱れるくらいぐりぐりと頭を撫でた。

 完全に子供扱い!

 っていうか、子供扱いするにしても、思春期だかなんだか通り過ぎたような年齢の女の子に対する態度じゃないぞっ!

「ハズレポーションなんて冒険者が持ち歩くわけないだろう」

 はい、そうですね。

 ってことは……。

「これ、飲めるような味?」

「もちろんだ」

 ううう、そうか。

 やっぱりか。ソースの線は消えた。消えたよ……。

「ハズレはまぁ、ポーションと一緒でとても飲めるようなものじゃないが、当たり初級MPポーションはうまいぞ。ポーションより子供が好きな味だと思うが、レベル10にならなければ魔法は使えないからな。子供が飲むことはほとんどない」

「おいしいの?キリカ飲んでみたい!」

 キリカちゃんが目をキラキラさせてMPポーションの瓶を見た。

「ポーション7個分の価値だ。飲むか?」

 ポーション7個分?ってことはパンが7個。2日半の食費だ。

「7個……」

 キリカちゃんがんーと考え込んだ。

「我慢する」

 っていうか、

「MPポーションを子供が飲んでも大丈夫なんですか?」

 確か上級ポーションは子供が飲んじゃダメだとか中級ポーションも何本までしかダメだとかいろいろあったはず。もともとレベル10になってからっていうようなものでしょ?

「そのへんはポーションと変わらない。金持ち連中はお菓子代わりに子供に飲ませてることもあるしな」

 ポーション7個分というと、700円ってことか。この手の平の収まるくらいの大きさの飲み物。んー、中身は100mlくらいかな。乳酸菌飲料が60mlだからそれ2つ分あるかないかくらい?それで700円って、うん。

 躊躇する値段だよね。

 金持ちの飲み物か……。

 いったい、どんな味?

 砂糖が高級品とか言ってたし、子供が飲みやすいとなると、黒糖系かな?

 黒蜜とかだったら、何が作れるかな。んー。とりあえず煮詰めたら黒糖とかできるかな?

「まぁ、ダメでもともとだ。MPポーションでなんか作ってみてくれ。じゃぁ、行ってくるよ」

 ローファスさんが、テーブルの上にMPポーションの瓶を5つほどだしてドアに足を運ぶ。

 ダメ元といいつつ5つも置いていくってことは、なんかめちゃめちゃ何か作ること期待してない?

「じゃあ、夜に戻る」

 手を上げてドアを開くローファスさん。

 あ、待って待って。忘れるところだった。

「待ってください、ローファスさんっ!」


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