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そりゃそうだ。地面に水分は吸い込まれて、そしてやがて乾いてなくなってしまうんだから。
カーツ君が助けを呼びにいって戻ってくるまで待っていたら消えてしまう。
どうしよう。かといって、このしるしを目印に悪者の後を追いかけられる?私に?
「もふもふ」
肉タウロス君が俺の背中に乗れ!ってジェスチャーしている。
ええ?
肉タウロス君が首輪をトンっとしてから、力こぶを作ってみせた。
小さい姿だけれど、力は大きくなったときと同じくらいあるから大丈夫っていう意味なのだろうか?見た目よりは力があるっていう意味なんだろうか。どちらにしても、分かりました。
乗せてもらうしかないです。私は自分の体力は信用していません。
「あ、待って!目印を残しながら移動しないと」
ミノタウレスちゃんの牛乳は乾いてなくなっちゃうだろう。
ヘンゼルとグレーテルでは、1回目は白い小石を。2回目は小石を用意できなくてパンをつかったら小鳥に食べられちゃって帰れなくなったんだよね。食べられずに目印になるもの……。
包丁とネギをひっつかんで肉タウロス君の背中にまたがる。
ネギを好んで食べる動物はいないはずだ。……と、思う。包丁で輪切りにして間隔をあけながら目印に置いていく。
食べ物をぽいぽいするのは心苦しいけど、背に腹は代えられない。
キリカちゃん、無事でいて!
肉タウロス君は地面の後を見失わないように、私を振り落とさないように人が走るよりも少し速いくらいのスピードでかけていく。
私は振り落とされないように肉タウロスちゃんにまたがり、ハンノマさんの魔法の包丁でネギを輪切りにして落としていく。地面は黒いけれど、下草が緑なため、ところどころ目立たない。ネギは失敗だったか……と思ったけれど、犬とか鼻が利く動物に協力してもらえばきっとネギで良かったってなるはずだ。
悪いことばっかり考えない。大丈夫、大丈夫……。
不安な気持ちが胸に渦巻く。
なぜ、あの時、一緒にいなかったのか。
どうして、なぜ、……。
不安と後悔と恐怖と……。
キリカちゃん無事でいて。キリカちゃん……。
ミノタウレスちゃんが狙われて一緒にキリカちゃんが連れて行かれたの?それともキリカちゃんが狙われて一緒にミノタウレスちゃんが付いて行ってくれたの?
どちらにしても、何故、どうして狙われたの?
相手がモンスターだとすれば……どうして、私たち他の人は襲わなかったの?
こうしてミノタウレスちゃんが目印を残しているということは、生きているということ。
なぜ、その場で殺したりしないの?
攫う……。
赤の大陸にさらわれたときのことを思い出した。
あの時はローファスさんに対する人質として攫われたんだ。……リリアンヌ様が。それに私たちも巻き込まれた。
今回は……、キリカちゃんかミノタウレスちゃんかどちらかが巻き込まれたのだとしても、どちらかがターゲットだったはずだ。
理由は何?
誰かに対する人質?
キリカちゃんの家族は毒親の父親しかいない。
ミノタウレスちゃんは肉タウロス君とダンジョンで暮らしていたわけでしょ?ダンジョンを出て誰かの目に触れてるとは思えない。
うーん。
とすると別の理由……。牛乳が欲しくなった?ありえる。いや、ありえるわけないか。
可愛すぎて連れて行きたくなった……ありえる。キリカちゃんもミノタウレスちゃんもとってもかわいいもの。
ご覧いただきありがとうございます。
==========2025年7月あとがき更新分はここ=====
ひぃ!2022から更新してないのね!(カクヨムで更新してますが……なろう規約のためこちらでは更新できない部分を)
ハズレポーションは好きでXでつぶやいたりもしてます。その時の置いときます。
ハズレポーションが醤油
ローファス「ブライス、蝙蝠のモンスターは無視していいぞ」
ブライス「倒そうと思えば一度に凍らせるだけですけど」
ローファス「……あいつら、血をドロップするからな、見ただけで気分が悪くなる」
ブライス「血、ですか?」
ローファス「ああ、ホレ」
ずばばーん
蝙蝠型モンスターを10体ほど一振りで倒すローファス。
ローファス「出たぞ、見て見ろ、この不気味さ。誰の血だよって考えただけでゾッとする」
ブライス「……なぜ、わざわざポーションの瓶に入った血がドロップするんでしょうね?」
ローファス「しらねぇけど、襲われた人間の血だったらと思うと」
ブライス「……これ、ポーションの瓶に入っているってことは”ハズレポーション”ですよね?」
ローファス「何が言いたい?」
ブライス「……今までハズレポーションがハズレだったことありましたっけ?」
ローファス「……え?……あ、ユーリか!」
ブライス「どうします?持って帰りますか?」
ローファス「う、これ、ユーリが見たら嫌がらせだと言われないか?」
ブライス「……さぁ、本当に血だったとしても……血を飲むという風習がある地域もあると聞きますし?」
ローファス「ユーリは血を飲むか?」
ブライス「……そういえば、血抜きした血はそのまま捨ててしまっていましたね?」
ローファス「じゃあ、これはユーリに持って帰るわけにはいかないよな!」
赤いものが入った瓶を遠くに投げ飛ばすローファス。
そのころのユーリ
「ああああ!私の何か、大事なものが捨てられてしまった気がする……あああああ、私の、私の……」
……さぁ、みんなで一緒に
「私の××××!」
「おいらの××××!」
「キリカの××××!」
ローファス「え?なんで、俺はまた睨まれてるんだ?」
まぁ、というように、まだまだいろいろ書きたいことがたくさぁーーーんあるので、引き続き応援よろしくお願いいたします!(更新止まっていてごめんなさい……)
==============ここまで==========
またしばらく間が空きます。すいませんです。
キリカちゃんが誘拐されちゃう編スタートでございます。
これでしばらくローファスさんはまたご飯食べられない~www
ネギを目印に使うとか……苦笑
いや、途中でね、豆でよかったんじゃ?豆巻いてけば……と思ったんですよ。でも豆もみにくいし食べられちゃうかな?うーむ。
それでは……いつも本当にありがとうございます。
週1更新ここで打ち止め……また少し間開いちゃいますすいません。
気がむいたら駄菓子ごはんやハズレドロップ品味噌も読んでね(*'ω'*)
ではキリカちゃんの無事を祈ってうださい!




