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「これだけ取れたよー、ユーリおねえちゃん、なんか良い匂いするのよ」
キリカちゃんたちがダンジョンから出てきた。
鍋にはいっぱいの豆が入っている。その後ろからやって来たブライス君は顔の大きさほどの巾着袋を3つ持っていた。
ぱんぱんに豆が詰まっているようだ。
「面白いですね。この丸い小石みたいなものが美味しいものになるんですよね?こんなに硬いのに食べられるんですよね?」
ブライス君が笑顔だ。
「うん。一晩水につけてから時間をかけて煮て柔らかくするんだよ」
簡単に説明する。
「へぇー。そんなに時間をかけて。ユーリさんはなんでも知っているんですね。流石です」
いや、なんでもは知らないよ。蒟蒻の作り方は知らないからね?
「コーヒー豆は、飲み物に使うのね。料理には……そのコーヒー豆で作った飲み物を使うかな」
そういえば、カレーにコーヒーを隠し味で入れるなんて話もあったけれど。
カレー……は、作れないなぁ。カレールーばかり使っていたから、香辛料をどう組み合わせればカレーができるかとか全然分からない。
カレーの匂いがするというカレープランツというのがあると言うのは知っているけれど。あれはカレーの材料でも何でもないんだよね。
ハズレポーションで、カレー……は、ドロドロしてて無理かな。今のところ中身は液体だものね。
「小豆は、餡子が一番メジャーかなぁ。んー、これは小豆だよね?小倉かな?だったら餡子じゃなくて小倉?どっちができるかな……。と、まぁどっちでも一緒よね。砂糖がたくさん必要だから、簡単には作れないかなぁ」
「砂糖が必要なら、僕が」
ブライス君の言葉に首を横に振る。
「身の丈に合わない味を覚えてしまうと将来苦労するからね。キリカちゃんもカーツ君も私も、自分たちの稼ぎで食べていかなきゃいけないから。頑張ってお金をためて、砂糖もときどき贅沢をするくらいでいいの」
カーツ君とキリカちゃんがうんと頷く。
ポーション畑でお金を一生懸命貯めているのもブライス君も知っているので、すぐに頷いた。
「そうですね。すいません。ユーリさんの言う餡子がどういうものか気になってしまって……」
「うん、ありがとう。ちゃんと、作る時は教えるね!それからブライス君にはお手伝いの代わりに砂糖と交換って言うことにしましょうか?」
手伝わないと食べちゃダメというルールなんて作ってしまったけれど、手伝えない場合もあるんだもの。
「そうですね。そうして貰えると嬉しいです。あー、ローファスさんにも伝えておきます。料理を手伝えない時は材料入手の部分で手伝うようにと」
それを聞いていた、ミノタウレスちゃんと肉タウロス君が騒ぎ出した。
「モフ、モフモフ」
「モウウウ、モウッ」
牛乳を器に注ぐミノタウレスちゃんと、肉を出す肉タウロス君。
「え?もしかして、材料出すからご飯が食べたいっていうこと?」
と、尋ねると、すごい勢いでコクコクコクコクと首を縦に振り出した。うん、赤べこみたいだわ……。
「もちろん、こんなに美味しい物を出してもらっているんだもの。いっぱい食べて!食べたい物があれば言ってね。といっても言えないか……私たちが食べるものと同じでも大丈夫なのかな?えーっと、牛乳とかお肉とかも平気?」
共食いにあたらないならいいけれど……。
牛乳に関しては共食いとは言わないとは思うけれど、牛肉は……えーっと。
赤べこふたたび。
どうやら大丈夫なようです。
(´・ω・`)
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「駄菓子ごはんで異世界ゆるり旅~私の魔力は10円です」
前から書きたかった駄菓子物です(*'ω'*)お時間のある方見ていただけると嬉しいです。
ガガガさんより「ハズレドロップ品に【味噌】」2巻が6月に発売予定となります。
さて、今年初めての更新。昨年末同様、しばらく更新続きます。えっへん。
とはいえ、週1ペースで文字数も少なくてすまぬこって。
あと、感想返しが出来なくて申し訳ないです。
さらには誤字修正もできずにすいません。感謝です!
あ、コミカライズ版ハズレポーション7巻も出る予定です。
てなわけで!




