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うーん、会いに来るとして交通手段は……。それは、まぁ、相談すれば何とかなるのかな?
バターにチーズに生クリームさらに霜降り牛を食べてもらえば……。
ローファスさんならまた食べたいと言ってくれそうだし。
ブライス君も気に入ってくれたみたいだし。
サーガさんなら、生クリームとバターをたっぷり使った甘いお菓子を食べたら行ってきますと言いそう。
そうそう、リリアンヌ様とセバスティアンさんも積極的に協力してくれそうだ。
このメンバーならば、ミノタウレスちゃんと肉タウロス君が美味しい物を出すからと捕まえて無理やり働かせるようなこともしないだろう。
……んー、他の人に知られたら捕まって閉じ込められて辛い思いをしちゃうかもしれない。
あれ?そもそもモンスターってことなら、他の個体もいるんだよね?2人だけが無事でも……仲間のミノタウレスやミノタウロスは?
……。……。牛乳も牛肉も、あまり知られない方がいいのかもしれない。とりあえず……これもローファスさんたちに相談してからよね。
広めても大丈夫なのか、やめた方がいいのか。また、ギルドに登録だとか、契約魔法だとかなんか必要になってくるのかな……。
なんだか……美味しい物を食べるということも、この世界ではちょっとめんどくさいことが多いね。
あ、違う。補正効果が付くからめんどくさいことになってるんだっけ?私を守ってくれるために。
ああ、そうだ。私だって今、この子たちを守りたいと思ったから……。めんどくさいとか思ことじゃないよね。そんなふうに思ったら、私だってめんどくさい存在になっちゃう。
ぶるぶると頭を大きく振る。
私、日本に帰りたくないくらいみんなのことが大好きになってしまった。
今は子供だと思われて、優しくしてもらえてる部分もある。年齢……いつか言わないといけないのは分かっているけれど、その時に「騙したな」と嫌われたら……どうしようと思うと、怖くて言い出せない。もちろん騙してはいないよ。年齢聞かれてないもの。嘘はついてない。
レベルが10になって、一人でも生きていけるようになって、そしてそれでも一人では生きていきたくない。皆と一緒にいたい。
……私が大人だと分かっても、ローファスさんなら投げ出したりはしないとは思うのに。
少しでも、皆に嫌われるのが怖くて。好きになればなるほど、皆のことが……。
あー、もう!悩むの禁止ぃ!
頭をポカポカと小さくたたいて気持ちを切り替える。
持って来た野菜に視線を向ける。
ダンジョンの上の畑はとても便利。季節を問わず色々な種類の野菜が何の世話もしていないのに収穫できるんだもの。美味しい物を食べるのにめんどくさい部分もあれど、逆に便利なところもいっぱいある!うん、そうだよね。そうだった。
視界にブライス君が氷で冷やしてくれてる肉が目に入る。
ああ、美味しそうだなぁ。食べ方……。
「大丈夫そうです」
ダンジョンからブライス君が出てきた。
「はーいなの!じゃぁ、またいっぱいとるのよ!」
キリカちゃんがぴょんっと小さく飛び上がってたたたと軽快な足取りでダンジョンに向かった。
カーツ君も、大量にバラバラと出てくる豆をキャッチするための鍋を手にキリカちゃんの後を追う。
あ、そうだった。一人がやっつけ、一人が大量に落ちてくる豆を鍋とかでキャッチするという方法をとっていたんだ。
メリークリスマス!




