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ハズレ魔石。大豆と小豆と珈琲豆だもの!とれるだけとるんだ!もともとこれって、ハンノマさんの依頼だったよね。ゴムでとばす玉にならないかって。玉にする分渡して、それ以外は……食べます!美味しく食べます!
だって、あれよ?
ミノタウレスちゃんが牛乳出してくれるんだよ?そこに、珈琲豆よ?
もう、あれでしょう!カフェオレ!カフェオレを飲むしかないでしょう!
ふふふ、カフェオレはエリクサーみたいな効果があったりして?ん?エリクサーってなんだっけ?頭に浮かんだけれど?ステマ?ん?
とにかく、カフェオレ!そうだ、コーヒーゼリーとかも作れないかな?ゼラチンがない……ゼラチンの材料は確か牛の骨や皮から抽出したコラーゲン……。
ちらりと肉タウロス君とミノタウレスちゃんを見る。
うん、肉と牛乳だもんね。もう一体、ゼラチン出す仲間とかいないよねぇ……。
流石に世の中そんなにうまくいくわけないか。
それに、そんなにたくさんゼラチンあっても使いきれないよね。コラーゲンは美容にいいっていうのだって……。
あれ?リリアンヌ様なら興味を持つかな?
貴族の女性たちがこぞって欲しがる?もしかして、ゼリー屋さんとか始めれば結構お客さんが……といっても、砂糖とか甘味が貴重だからゼリー屋も難しいか。値段がね。
やっぱりそんなにゼラチンは消費できそうにない。
「まだ、危険があるかもしれません。先に僕が様子を見てきます」
ブライス君がダンジョンに向かう。
「あ、僕も行きます」
ダイーズ君がブライス君の後について行った。
「2人はどうする?ダンジョンに戻る?」
今まで住んでいた場所だし、帰りたいかもしれないとミノタウレスちゃんと肉タウロス君に尋ねると、ミノタウレスちゃんが首を横に振った。それを見て、肉タウロス君がうつむきお腹を押さえる。
ぐうーっと、お腹が鳴る音が聞こえた。
「あ、お腹空いてる?えーっと、すぐに食べられる物、ちょっと待ってね」
もう火を消してしまったから、パンにバターを塗って肉タウロス君に渡す。……バター大丈夫だよね?共食い系になる?ならないよね?牛乳だし。
肉はどうなんだろう。……身を削った物でなければ問題ない?うーん。いいや。確認して本人たちに判断は任せよう。
肉タウロス君が美味しそうにバターを塗ったパンを食べた。
「モウ!モウモウモウ!」
何かを興奮気味にミノタウレスちゃんに話しかけている。
「モッフゥ、モフモフ」
ミノタウレスちゃんがそうでしょそうでしょと言うようにドヤ顔した。
うーん、なんだろう。私の出した牛乳で作ったバターなんだから、美味しいに決まってるでしょ!ってことかな。
と、思って見ていたら肉タウロス君が、私を見た。
「ん?おかわり?はい、どうぞ」
と、いうか、この2人……2体はこれからどうするんだろう。私たちがここにいる間は一緒に過ごすとして。
土の魔石ダンジョンから戻る時は……ついてきてほしいけれど……牛乳と牛肉……。いや、違う、違う、かわいいし、もふもふだし、もし牛乳や牛肉出してくれなくたって一緒にいたいよ?
……ダンジョンに残るならば、無理に連れて行くなんてできないよね。残るなら、首の皮ひももはずしてあげて……。ときどき会いに来よう。




