271 ミノタウロスの攻撃
カーツくんとキリカちゃんが私の後ろから顔をひょこっと出した。
「うわー、ブライスお兄ちゃん、顔にも服にも頭にもなんかいっぱい茶色いのついてるのよー」
「ダイーズ兄ちゃんも、なんかべたべたくっつてるな、なんだそれ?」
ダイーズ君とブライス君が顔に張り付いたものを引っぺがしながら悔しそうな声を出した。
「あと少しでやっつけられると思ったら、この攻撃を受けて視界をふさがれました」
「流石に目をふさがれてしまうと弓も使えませんし、下手に武器を振り回してブライス君を傷つけるわけにもいかないので……」
それで、二人は退却をしたらしい。
「えーっと、……ちょっと待って!」
とりあえず、急いで鍋を一つ持ってくる。
「その、張り付いたやつ、ココに、剥がしてここに入れましょうね?」
二人の無事が確認できたところで、私は冷静に、大きな鍋を差し出す。
「え?」
ブライス君がようやく顔に張り付いた物を剥がし終えると、首を傾げた。
「大丈夫ですよ、ダンジョンの中に捨ててしまえば、しばらくすれば消えてなくなり」
「だめー!」
思わず大きな声を出してしまった。
ブライス君がびっくりした顔をしている。
「あ、ごめん。急に大きな声を出してしまって……。あの、ブライス君、鑑定してもらえない?これ、毒はないよね?」
ブライス君の体に張り付いた物体を引きはがして鍋に入れながら訪ねる。
「え?ええ、【鑑定】……えーっと、毒はないみたいですが、よくわからない言葉が並んでいますね」
うんうん、毒じゃないならとりあえず問題ない。
もくもくとダイーズ君は自分の体に張り付いたものを剥がして鍋に入れてくれている。背中とか手の届かない、見えない場所のものをキリカちゃんとカーツ君が協力している。
「なぁ、ユーリ姉ちゃん、なんで鍋に入れるんだ?」
キリカちゃんがニコリと笑った。
「分かった!これも美味しい何かなんだよね!」
ブライス君がキリカちゃんの顔を見る。
「えーっと、毒ではないですが、謎の言葉がならんでいますよ。A5とか……霜降り……とか」
ブライス君の言葉に、カッと目を見開く。
「やっぱり!やっぱりそうなのね!この見た目!どう見てもお高い霜降り牛にしか見えないと思ったら……A5って最高ランクの牛肉……」
ああ、思わず興奮してしまう。
ちょっとなんだか、今の私、ローファスさんみたいじゃない?
と、思った。うん。美味しいって分かってるものを目の前にすると、こうなるのね。
だって、日本でもめったに食べられない……というか、食べた記憶はない……。
「幻の最高級……のお肉……」
ダイーズ君が声を上げる。
「ああ、これ、肉っぽいなぁと思ったら、やっぱり肉ですか!」
手にプラプラと霜降り牛の薄く切ったものをぶら下げて眺めている。
「ああ、本当に素晴らしいサシの入った……」
ピンクっぽく見える赤いお肉に、白い脂肪が細かい網目模様となってまんべんなく広がっている。
素晴らしい。素晴らしすぎて……。
「サシ?でもこんな不思議な模様入りの肉ははじめて見ました。それにしても、自分の肉を削って攻撃に使ったんでしょうか?」
ダイーズ君の言葉にハッとなる。
身を削って攻撃にって……ミノタウロス……。
ごぶさたしております。ご覧いただきありがとうございます。
えーっと、更新がまばらでスイマセン。書こうかなと思うタイミングで読者様ではない毒者からの感想などによりHPが削られる現象に名前を付けてほしい今日この頃。最近は削除+ブロックで対応させていただいております。が、どうやら規約違反の場合は削除よりも規約に違反していますと運営様に言うことでアカウント停止ということもあるようです……が、精神的に厳しいので削除+ブロックが一番楽なんですよね。(正直他の作品ばかり書くと言われることもあるんですが、他の作品には毒者が湧かないんですよ。この作品さえ封印しておけば割と平和なんです)
さて、とはいいつつ、エイプリルフールネタを書いたので。4月1日も更新予約しときます。
あと、下に☆評価欄があるんですけれど、
いえ、何でもないです。久しぶりの更新でランキングに顔を出すなんて思ってないです。
むしろ、いくつブクマが剥がれるかなーと思ってます。妖怪ブクマはがしはなろう界隈では有名ですからね。さて、予約入れないと。




