270話 ダンジョンでの攻防?
「これだけおいしいものを作り出すことができるから、神の使いと言われていたんでしょうか」
ダイーズ君が尊敬のまなざしをミノタウレスちゃんに向ける。
「だよなー、こんだけうめぇもん食べさせてもらえるし、かわいくて害はないし、最高だよな」
神の使い……か。
そういえば、牛って、かなり神様の使いだと言われてるよね。
宗教によっては、白い牛とか崇められてたり、牛は食べちゃ駄目って言われてたり。
そうそう、太宰府天満宮にも神の使いとして牛の置物があるんだっけ?天満宮には狛犬じゃなくて牛が置かれてるとかも聞いたことがあるなぁ。
ふふ。異世界でも神の使いって言われるなんて、牛さんはすごいねぇ。
じゃがバターと、きのこのバター炒めと、鮭のバター醤油ソテー。
お腹いっぱい食べました。
みんなで仲良く片付けをする。
ミノタウレスちゃんはお腹がいっぱいになって眠くなったのか、ぽかぽか日の当たる場所に移動してぽてっと寝てしまいました。
寝てる姿もかわいい。
「じゃぁ、そろそろダンジョンに」
一息ついてから、ダイーズ君が立ち上がる。
「待って、ダンジョンにはミノタウロスがいるんじゃない?」
私の言葉に、ブライス君が声を上げる。
「え?ミノタウロスがいるんですか?……ああ、ミノタウレスがいるんですから、いるのは分かりますが、初級の土の魔石ダンジョンでそんな強いモンスターが……」
そうか。ミノタウロスは強いモンスターなのか。攻撃受けてもポップコーンが当たったくらいの感じしかなかったので、実感はなかったけれど。
「僕が、ダンジョンに入ります」
「あ、私も行くわ。一人じゃ危ないから」
ブライス君が首を横に振った。
「ミノタウロスが出るようなダンジョンに、冒険者見習いが入ることはできません」
え?そうなの?
「じゃぁ、僕が一緒に行きます」
ブライス君とダイーズ君がダンジョンへと入っていく。
残された私とキリカちゃんとカーツ君3人で、ダンジョンの入り口に立って中の様子をうかがう。
……よく見えないけど。
もし、悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえたら、私は飛び込んでいくつもりだ。攻撃は大したことなかった。ペンダントとベストのおかげで防御力には自信があるんだもん。
心配で心臓がとくとくと速くなる。
「【雷の矢よ轟け、1,2,3】」
ブライス君が魔法を放つ声が聞こえてきた。
まるで雷のようにピカッと光り、ずばばーんと雷が落ちたような音が聞こえてくる。
「仕留めたか?」
「ブライス君、まだですっ!」
「逃げられた」
「待て、あ、そっちは」
「ダンジョンの外に逃げる気か!」
「逃がすか!うっ、なんだこの攻撃は」
「目がふさがれた!」
え?え?
ダンジョンの外って、今、私とキリカちゃんとカーツ君がいるここに出てくるってこと?
キリカちゃんとカーツ君を背にかばい、ダンジョンの入り口の正面に両手を広げて立つ。
私なら、あの大きな蹄のついた手で張り倒されたって全然平気なんだから。来るなら、来い!
両手を広げた私の胸に、どーーーんと、すごいスピードで何かがぶつかってきた。
「ユーリさんっ!」
「大丈夫ですかっ!スイマセン、取り逃がしました!」
弓を構えたダイーズ君とブライス君がすぐにダンジョンから姿を現した。
「うん、私は防御力が高いから全然平気だけど……えーっと、二人は、その……大丈夫?」
お知らせ。
活動報告ではちょこちょこ書いてますが「お外執筆」をしております。主に喫茶店やファミレスなどを利用して書くスタイルです。しばらくコロナが落ち着いていたため執筆を再開し何話か予約更新をいれましたが、再びコロナ感染が広がり出したのでまた自粛生活に戻ります。
ゆえに、執筆が出来ずしばらく更新が止まります。ごめんなさい。




